出典:東日本旅客鉄道株式会社「山手線内の普通運賃表」を基に筆者作成
首都圏外延部や地方エリアだと「交通系ICカード」より「切符」の方が安いケースも
国土交通省は「ICカード運賃は現金運賃と同額ないしそれより安価となることを基本」とする一方、「端数処理の技術的な方法については、事業全体として108/105以内の増収を前提に、各交通モードの利用特性を踏まえて現実的に対応」との方針も示しています。
そのため、値上げに伴う増収の幅が一定の範囲内に収まることを前提に、運賃の端数処理は各事業者に委ねられることになりました。その結果、電車特定区間や山手線内は常に「交通系ICカード」が安価になる一方、首都圏外延部や地方エリアだと「切符」の方が安いケースも見られるようです。
一部の事業者では「小児用ICカード」利用時に小児運賃が大幅に安くなる
さらに近年、「小児用ICカード」を利用すると小児運賃が大幅に安くなる鉄道事業者やバス事業者が登場しています。例えば、小田急電鉄株式会社は2022年に小児用ICカード利用時の小児運賃を一律50円に、京浜急行電鉄株式会社は2023年に一律75円に改定しました。
バス事業者では、神奈川中央交通株式会社が2023年に「小児IC運賃の一律50円」を開始しています。沿線人口の減少に直面する路線も多いこともあり、小児一律運賃のように大胆な施策を推進する事業者も今後は増えてくるかもしれません。
まとめ
今回は電車やバスの「二重運賃」について解説しました。二重運賃は2014年の消費増税に伴い導入された手法で、交通系ICカードと切符で異なる運賃体系を設定するものです。運賃の端数処理は各事業者に委ねられているため、電車特定区間や山手線内のように交通系ICカードの方が安い区間もある一方、首都圏外延部や地方エリアなどは切符のほうが安いケースもあるようです。
近年は小児一律運賃を導入する事業者も現れているため、交通系ICカードと切符を使い分けてお得に公共交通機関を利用しましょう。