出典:厚生労働省「年収の壁について知ろう」を基に筆者作成
 
年収の壁を超えると税金と社会保険料を払わなければならず、収入によっては手取り額が減ってしまう恐れがあります。自分にとって最適な働き方を決めるためにも、それぞれの「年収の壁」の影響を理解しておきましょう。
 

扶養から外れていくら稼げば得になる?

それでは、扶養から外れていくら稼げば得になるのでしょうか。扶養に関連する年収の壁で特に影響が大きいのは社会保険料の支払いです。
 
そのため、ここでは130万円の壁を境として、いくら以上の収入があると手取り額で損をしないのか計算してみました。また、計算の条件は以下の通りです。


・社会保険料は給与収入の15%
・所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみ
・住民税は所得割10%と均等割5000円

 
表2

給与収入額 手取り額
129万円 124万1000円
130万円 108万3800円
153万円 125万円

※筆者作成
 
130万円を超えると社会保険料の徴収で手取り額が大きく下がるため、129万円の時の手取り額を超えるには153万円以上の収入が必要だと分かりました。なお、各種控除などによって実際の手取り額とは差異がある可能性があるので、表2の結果は一例として参考にしてください。
 

政府による年収の壁対策もスタート

政府による年収の壁対策も2023年10月からスタートしています。首相官邸が公表している具体的な取り組み内容を以下の表3にまとめました。
 
表3

政府の対応内容
106万円の壁 パート・アルバイトで働く方の厚生年金保険や健康保険の加入に合わせて、手取り収入を減らさないための取組を実施する企業に対し、労働者一人当たり最大50万円の支援をする。
130万円の壁 パート・アルバイトの方が、繁忙期に労働時間を延長したことなどにより、収入が一時的に上がっても、事業者(会社など)が「一時的に収入が上がった」ことを証明すれば、引き続き配偶者の不要に入ることが可能となる仕組みを作る。