女優として、作家として第一線で活躍を続けている室井滋さん。

室井滋『ゆうべのヒミツ』
 2024年9月に上梓したエッセイ『ゆうべのヒミツ』(小学館)も重版が続いています。

 本エッセイで「年を重ねたからこそ味わえる日々の愉しみ」を綴っている室井さんに、「中年期をどう過ごしてきたか」「キレイな肌や髪のヒミツは?」などを直撃。元気の源に迫りました。

◆「オバサン」「姉さん」「お母さん」、大人の女性の呼び方は難しい

――『ゆうべのヒミツ』を電車の中で読んでいたときに、前に立っていた小さな男の子が、帯に書かれていた“オバサン”という文字に反応して「オバサンだって」とつぶやいたんです。そしたら隣にいたお母さんが「ダメ! そういうこと言うの、やめなさい!」と注意しまして。

室井滋さん(以下、室井):注意する必要ないのにね。

――その子は、オバサンの私がオバサンと書かれている本を読んでいるのが面白かったのかなと。私自身は別に気にならないんですけど。

室井:私もオバサンだからオバサンと呼ばれても、その辺はどうでもいいです。ただこの間、悪いことしちゃって。

知ってるお店の子がサイン会に来てくれたんです。若い子なんだけど、そのとき「何々ちゃん」と話しかけて来た女性がいて、つい「何々ちゃんのお母さま?」と聞いちゃったんです。言ったあとに、「そういえば、この女性もそのお店で見たことがある人だ。知り合いの方だな」と気づいたんですが。ものすごく申し訳なくなっちゃって。

室井滋『ゆうべのヒミツ』
室井滋『ゆうべのヒミツ』/小学館
――「誰々のお母さま?」と訊ねるのは問題ないんじゃないですか? 呼びかけに「そこのお母さん」みたいに言われるのは、抵抗ある人が多そうです。大人の女性の呼称は難しいですね。

室井:よく芸人さんとか、年齢関係なく「姉さん、姉さん」って呼びますよね。あれもマナーになってるんだろうと思いますけど、姉さんも、なんか“姐さん”みたいな感じがしちゃう(笑)。普段から仲良くしてる松本明子ちゃんは、私のこと「姉さん」って呼ぶけど。