近年、徐々に浸透しつつあるキャッシュレス決済。クレジットカードや電子マネーは有名ですが“デビットカード”という決済方法をご存知でしょうか?利用代金が銀行口座の残高からその場で引き落とされる決済方法で、現金に近い感覚で利用することができます。「月に1万円」など上限額を設定することもでき、利便性の高さからヨーロッパではクレジットカードよりも人気です。そこで今回は、デビットカードの利便性や不正利用の防ぎ方、被害にあった場合の対処方法などについて解説します。
デビットカードの利便性
デビットカード最大の利点は、利用額が“即時に”銀行口座の残高から引き落とされる点にあります。クレジットカードを使わない人の多くは、その理由として「使い過ぎが心配」を挙げます。デビットカードはクレジットカードのように「まとめて後払い」ではないため、そのような心配とは無縁です。
また、多くの実店舗だけではなくネットショッピングでも利用可能で、海外では現地通貨をATMから引き出すこともできます。カード発行会社によりますが、キャッシュバックやポイント付与といったお得なシステムも設けられていて、利便性の高い決済手段と言えるでしょう。
デビットカードに潜む危険性とは
このようなデビットカードにも、不正利用の危険性があることは否定できません。利用代金が口座からすぐに引き落とされるか、後からまとめて支払うか、という違いはあるにせよ、使い方は基本的にクレジットカードとほぼ同じで、不正利用の手口も似通っています。おもなケースを見てみましょう。
カードの盗難や紛失
カードそのものを盗まれたり落としたりして、それを第三者が不正に使用するという手口。古典的ではありますが、誰しも巻き込まれる可能性はあります。
カード情報を第三者に知られる
カード自体はなくさなくても、カード番号や有効期限、氏名、暗証番号といった情報を第三者に知られてしまい、ネットショッピングなどで不正に利用される手口です。飲食店の店員が客から預かったクレジットカードを盗み見して情報を記憶し、不正利用を繰り返したという事件も実際に起きています。
スキミング
特別な装置を使用してカードの磁気ストライプに記憶されている情報を抜き出し、そこから偽造カードを作成して不正に利用するという手口です。ただ、最近ではスキミング対策のため、偽造がしにくいICチップ付きのカードが普及しています。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、インターネットバンキングの偽ホームページや偽のショッピングサイトに誘導したり、宅配業者の不在通知などを装ったメールを送信したりして、そこに入力させた個人情報やカード情報などを使い詐欺行為を働く手口です。近年は本物のサイトと見分けがつかないほど精巧な偽サイトも出てくるなど、どんどん巧妙化しています。
ネットショッピング詐欺
偽のショッピングサイトで「有名ブランド商品を破格の値段で売る」などと偽り、商品の代金を振り込ませだまし取ったり、入力されたカード情報を不正に利用したりする手口がネットショッピング詐欺です。スマートフォンの普及によってネットショッピングがより身近になったことに比例し、被害件数も増大しています。
デビットカード不正利用被害の防ぎ方
前述したように、デビットカードの不正利用はカード情報を第三者に知られることによる「なりすまし」がおもな手口です。なりすましを防ぐには、カード情報を他人に知られないようしっかりと管理することがもっとも重要です。その上で、不正利用を防ぐためにできる方法を見ていきましょう。
代金引き落とし口座を貯蓄用の口座にしない
デビットカードで決済した代金は口座の残高から引かれます。つまり、「口座に入っている金額以上の決済はできない」ということです。給与やアルバイト代の振込口座や貯蓄用の口座とは別の残高が多くない口座を設定しておけば、万が一不正利用されても被害額を抑えることができます。
利用限度額を設定する
ほとんどのデビットカードでは、「1回あたり」「1日あたり」「1ヵ月あたり」の決済額の上限を設定できます。これにより、万が一不正利用の被害にあっても被害額を抑えることができます。
海外での利用機能を停止しておく
多くのデビットカードには、海外のATMで現地通貨を引き出せる機能が付帯しています。近年、金融犯罪はグローバル化しています。海外での利用機能は基本的にオフにしておき、海外への旅行や出張の際にだけ利用できる状態にするのが望ましいでしょう。
利用履歴をこまめにチェックする
デビットカードを発行している会社や金融機関の多くは、スマートフォンからリアルタイムで口座残高を確認できるアプリをリリースしています。利用履歴はこまめにチェックしましょう。また、個別の決済ごとにメールで通知してくれるサービスもありますので、併せて利用するとよいでしょう。