◆「私の言葉は金になるのよ」「私は紫式部と同じなのさ」
かつての恋人、作家の小田仁二郎にも似ていたと書かれていますが、寂聴先生も母袋晃平さんのことが本当に好きだったようです。見た目だけでなく性格も……。
「なんであなたのこと好きかわかる?って言われたことがあるそうです。『群(むら)がってこないとこがいいのよ。グッズとかで商売にしようと思わない』って『そんな綺麗な生き方で生きていけるの』と心配されていました」
ピュアなイケメンは、百戦錬磨の作家の女性にとっては、癒しの存在だったのでしょう。寂聴先生のところには利権を求める人がたくさん寄ってきたようです。
いっぽうで、この小説には「私の言葉は金になるのよ」など、尼僧に言われたくないような率直な発言も収められています。他にも「私は紫式部と同じなのさ」など裏格言が満載です。寂聴先生の、聖と俗を自在に行き来するような姿も印象的でした。
「テレビを観て、ライバルの著名人が出てくると小鬼のように真っ赤になって怒ったり。85歳でもずっと思春期のように、感情の振幅が大きかったようです。仕事でも現役感ありありでしたね」
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