株の利益や税金の計算は証券会社におまかせできます。便利ではありますが、初心者の方が「自分の計算結果と合わない」と頭を悩ませるケースもあるようです。
本記事では株の利益の計算方法 について解説します。また自分の計算と合わない主なケースについても2つ紹介します。
目次
株の利益 基本の計算方法
まずは「基本的な株の利益の計算方法」を確認しましょう。
株の利益 計算式
株の利益は、基本的には以下のように計算されます。
株の利益=(売却株価−購入株価)×売却株数
具体的な例で株の利益がどのくらいになるのかを考えてみましょう。
【例1:全部売却する場合】
1.株価100円で1,000株購入
2.株価150円で1,000株売却
これを先程の計算式に当てはめると次のように計算できます。
株の利益=(150円−100円)×1,000株=5万円
最もシンプルな例なので理解しやすいのではないでしょうか。では次の例ではどうでしょう。全部売却するのではなく、一部だけ売却する場合です。
【例2:一部売却する場合】
1.株価100円で1,000株購入
2.株価150円で500株売却
株の利益=(150円−100円)×500株=2万5,000円
持っている株数の一部だけ売却する場合、売却した株数だけで利益を計算します。
本記事では簡略化のため省略しますが、実際の株の取引には手数料などの経費がかかります。経費は株の利益から差し引きましょう。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
利益の20.315%が課税
上記の方法で計算された 利益に対し、20.315%の税率で税金が発生します。
「特定口座(源泉徴収あり)」で取引している場合、利益の計算から納税まで証券会社が自動的に行ってくれるので、確定申告は不要です。
なお証券会社の口座は3種類あります。
特定口座(源泉徴収あり) |
特定口座(源泉徴収なし) |
一般口座 |
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
株の利益の計算が合わない!2つのパターン
株の利益は、基本的には上述した方法で計算して大丈夫です。しかし以下の場合、 自分の計算と実際の利益とが合わないことがあります。
- 同じ銘柄を2回以上に分けて購入している
- 損益通算されている
それぞれ確認しましょう。
パターン① 同一銘柄を2回以上に分けて購入している
同じ銘柄を2回以上に分けて購入している場合、自分の計算と利益が合わないことがあります。なぜ計算が合わないのでしょうか。
より正確に計算するなら「平均取得単価」を確認
「基本の計算式」では、株の利益は以下のように計算すると説明しました。
株の利益=(売却株価−購入株価)×売却株数
しかし上記の計算式は、実は正確ではありません。 より正確な計算式は以下の通りです。
株の利益=(売却株価−平均取得単価)×売却株数
計算が合わなくなる原因は、「購入株価」ではなく 「平均取得単価」で利益を計算している点にあります。平均取得単価とは「1株あたりの購入金額の平均値」 で、以下のように計算されます。
平均取得単価=購入代金の総額÷総株数
たとえばA株を全部で3,000株持っており、購入代金の総額が60万円の場合、平均取得単価は200円となります。
ここまでなら「購入株価」を使った場合と、利益の計算はそう変わりません。問題は、同じ銘柄を2回以上に分けて購入する場合です。
同じ銘柄を2回以上に分けて購入するなら計算に注意
同じ銘柄を2回以上に分けて購入する場合、 「平均取得単価」が「購入株価」と相違 するため、利益がイメージと離れてしまうことがあります。
以下のケースで考えてみましょう。
【同じ銘柄を2回に分けて購入し、1回目の分だけ売却するケース】
1.A株を株価100円で1,000株購入(購入代金10万円)
2.A株を株価200円で1,000株購入(購入代金20万円)
3.A株を株価150円で1,000株売却(売却代金15万円)
まずは「平均取得単価」を出してみましょう。
(購入代金の総額:10万円+20万円)÷(総株数:1,000株+1,000株)
=30万円÷2,000株
=150円
A株の平均取得単価は150円だということが分かりました。これを計算式に当てはめて株の利益を出してみましょう。
(150円-150円)×1,000株=0円
利益はゼロになってしまいました。このケースだと最初の購入株価は100円なので150円で売れば一見利益が出そうですが利益はありません。
このように同じ銘柄の場合、たとえ購入日や単価が異なっていても「平均取得単価で買った」とみなされます。そのため利益のイメージが想定と異なることがあるので注意しましょう。
出典:国税庁「No.1466 同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費」
パターン② 前回の損失と損益通算されている
株の利益の計算が合わないもう1つのケースは、「特定口座(源泉徴収あり)」で取引している場合に「思ったより税金が引かれなかった」というケースです。
特定口座は損益通算も自動 年内の損失を利益から差し引き
なぜ自分で計算した税金よりも実際に引かれる税金が少なくなるのでしょうか。ポイントは「損益通算」です。「損益通算」とは損失と利益を相殺し正味の利益を計算する方法です。
税金は1年間の利益から損失を差し引いた金額で計算されるため、損益通算することでより正確な納税額 となります。
「特定口座(源泉徴収あり)」では年内の損益通算を自動的に行い、源泉徴収される税金を調整しています。したがって利益が出る売却であっても、損益通算で利益がなくなれば税金が引かれないケースがあり得るのです。
【損益通算で利益が0になる場合】
1.A株を株価200円で1,000株購入
2.A株を株価150円で1,000株売却(▲5万円)
3.B株を株価1,000円で100株購入
4.B株を株価1,500円で100株売却(+5万円)
このケースではB株だけ考えると利益がありますが、 A株の損失と損益通算することで利益が0となります。その結果、税金が少なくなり計算と合わなくなるのです。
特定口座の損益通算の注意点
特定口座の損益通算は便利ですが、注意点もあります。以下3点に留意しましょう。
【別の年は損益通算されない】
特定口座の損益通算は、同じ年の損失と利益が対象です。
たとえば2021年の利益と相殺できるのは2021年の損失で、2020年の損失は損益通算の対象外です。
【配当金の損益通算は年初にまとめて行われる】
損益通算の対象は配当金も含まれます。ただし、株の売買の損益通算は取引の度に行われますが、配当金との損益通算は翌年の年初にまとめて行われます。
株の売買で損失があり還付金が受け取れる場合でも、配当金からの還付は年初まで待たないといけないので注意しましょう。
【証券会社間の損益通算は行われない】
特定口座の損益通算は、 その特定口座を開設している証券会社の取引だけが対象です。
たとえばA証券で20万円の利益、B証券で20万円の損失となっている場合、損益通算できれば利益は0となりますが、証券会社が異なるので特定口座の損益通算の対象外です。
確定申告すると、特定口座で自動的に行われない以下のような損益通算もできます。
- 過去3年以内の損失との損益通算
- 複数の証券会社間の損益通算
確定申告は「特定口座(源泉徴収あり)」で取引していても可能です。
若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
株の利益計算は「平均取得単価」と「損益通算」に気をつけましょう
株の利益計算は難しくないですが、本記事で取り上げたように、 同じ銘柄を2回以上に分けて購入する場合や損益通算などが原因で計算が合わないケースがあります。
もし利益の計算が合わなくなった場合、利益計算のルールを思い出し冷静に計算しなおしましょう。
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