◆怪しく尾を引く役
俳優としてのフェアな態度もよりスリリングに深化する。
長澤まさみ主演のサスペンスドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(関西テレビ・フジテレビ、2022年)で演じた連続殺人犯役は、永山の紛れもない真骨頂が滲んだ怪演だった。わずかな出番で神出鬼没のごとく現れ、不気味な存在感を残す。
じわじわ感じさせる恐怖は、煮えきらないエンディングを迎えた最終話の後も、怪しく尾を引いた。さらに是枝裕和監督が坂元裕二に脚本を委ねた問題作『怪物』(2023年)での教師役も極めつけだ。
小学校のクラス担任・保利(永山瑛太)が、教え子に度重なる体罰を加えたことから予想外の醜聞が広がる。その実、罪を着せられただけの保利のキャラクター性に全編の前半と後半で白黒を付け、繊細な好演が素晴らしかった。
【こちらの記事も読まれています】