センスのいい旬の花を、お手ごろ価格で自宅に定期的に届けてくれるお花の宅配サービスが増えています。「花がある暮らし」にあこがれるけれど買いに行く時間がない人や、自分のセンスにはちょっと自信がないという人に好まれているとか。
疲れて帰ってきたときにポストに花束が届いていると、自分へのプレゼントのようでうれしくなりますよね。今回は、一流ブランドの装飾やアーティストとのコラボ、CMなども多数手がけているフラワーアーティストで華道家でもある後藤亜希子さんに、花の宅配サービスの魅力についてうかがいました。
「花の定期便」が流行中!注目の理由は?
2016年6月に1回500円でポストに花を届けてくれる日本初のワンコインフラワー定期購入サービスとしてスタートした「Bloomee Life(ブルーミーライフ)」が火付け役となり、広く知られるようになりました。忙しい日々の中でも部屋にお花を飾るような“ていねいな暮らし”にあこがれる人が、自分へのちょっとしたごほうびや身近な人へのプレゼントとして利用することが多いようです。
主に20~30代の女性を中心に話題を集めている様子です。毎日帰りが遅く花屋さんが開いている時間になかなかお店に行けなかったり、近くには買える場所がなかったりするという人も多いですよね。花の宅配サービスなら選びに行く時間がなくても時短で生活に潤いを得られるのがポイントです。Instagramでもハッシュタグの「#花のある暮らし」は投稿約399万件、「#花のある生活」は投稿115万件と人気のテーマ。
あこがれを手軽に満たせる方法として、最近は同様のサービスが増えています。
たくさんある花の定期便サービスの選び方は?
2019年現在、花の定期便サービスは大幅に増えました。各社それぞれに工夫を凝らしていて料金や配送方法、届く花の種類やボリュームもお店によって異なります。予算や頻度(週に1回、月に一度など)も重要ですが、参考にして欲しい選び方のポイントを3つチェックしてみましょう。
(1)花屋の直営サービス?
(2)花は好みに合う?
(3)自分のライフスタイルに合っている?
花屋の直営するサービスかどうか
1つ目は、花屋さんが直接経営するサービスであること。市場や生産者から直接花を仕入れているお店なら新鮮で生き生きとした花を届けてくれるからです。フラワーデザイナーが直接セレクトしてくれるサービスであれば、花のクオリティにも期待でき、満足度も高くなります。作り手の思いやこだわりが感じられるものはうれしいですよね。
花が好みに合うかどうか
2つ目は、そのショップの花のアレンジが好きかどうかという点です。「華やかでボリュームのある花が好き」「野の花を摘んだような、さりげなくかわいらしいものがいい」などは受け手の好みなので、各サービスのサンプルを見て「これ!」と思ったものを選ぶといいでしょう。
自分のライフスタイルに合っているかどうか
3つ目は、自分のライフスタイルに合わせた受け取り方が可能であるかという点です。「ポストで受け取れるのか」「手渡しの場合は在宅が見込める時間に受け取り可能か」「配達日が平日か週末か」「旅行などで受け取れない場合のスキップ機能は使えるか」などの設定も確認しましょう。住所が配達区域にあるかどうかも最初に確認してくださいね。
新進気鋭フラワーデザイナーユニット「Bionic Plants」の「Weekly Flower」に注目
今回ご紹介するのは、著名なフラワーデザイナーユニット「BIONIC PLANTS(バイオニック・プランツ)」が自らセレクトした美しいミニブーケが受け取れるサービス「Weekly Flower」です。「BIONIC PLANTS」は、後藤亜希子さんと楠木誠悟さん、楠木康平さんの兄弟によるフラワーデザイナーユニット。2011年に活動を開始し2015年に世田谷区・奥沢に路面店をオープンしました。
2019年3月からは目黒区の都立大学駅近くに移転し花屋を営んでいます。ブランドや雑誌、イベントなどのディスプレイを中心に活動。GIVENCHYやMONTBLANC、AUDIなど誰もが知るような超一流ブランドの特別イベントや店頭でのディスプレイのほか、日本橋三越本店や松屋銀座などの百貨店ディスプレイまで手がけています。
柔軟剤「レノアハピネス」のCMで綾瀬はるかさんが身にまとっている花のドレスを担当したり、雑誌『NYLON』で木村カエラさんとコラボしたりなど活動は多岐にわたります。一流の世界で活躍する彼らが直接花を選び、届けてくれる「Weekly Flower」は、2017年から開始されたサービスです。メンバーの一人、後藤亜希子さんに詳しくお話を聞きました。
「私たちを選んでくれた人に、私たちの手でできるだけ良い花を届けたい」
———花を仕事にするに至ったきっかけや、BIONIC PLANTS結成の経緯やこだわりなどを聞かせてください。
後藤亜希子さん(以下、後藤) :花との出合いは実は遅いほうです。特にやりたいこともなく、人生の方向性に迷っていた27歳のとき、親に生け花の教室を勧められたのがきっかけでした。「師範までは頑張ろう」と決めて続けるうち、花の知識を深めたくなり大手の生花店に転職することに。今振り返るとおこがましいような気もしますが、ブーケを作ってみて「お客さまの欲しいものがわかる」「向いている」と思えたのです。
色を合わせていく作業も好きで、普段は厳しい店長にセンスがあると褒めてもらったこともうれしくて、10年間勤務しました。楠木誠悟さんとは同じ生花店で出会い、意気投合。お互いに刺激し合い、助言し合えるので、一緒に独立することを早くに決めていました。「アトリエを持ちたい」「みんなが目にするような大きなものを生けたい」という共通の希望もあり、ディスプレイや生け込みを中心に手がけています。
———「Weekly Flower」を始めた理由やきっかけは?
後藤 :大手の花定期便サービスを受注していたのですが、私たちが直接手がけたほうが、コストを抑えてもっと質の高いものを届けられると感じたのです。量をたくさん出さなくていいから、自分たちを選んでくれた人に自分たちの手から良いものを届けたいと思いました。誠意を持って説明し、独自サービスを2017年から開始しています。
料金は1プランのみですが、欲張らずに私たちができる範囲でベストなものを届けたいと思って決めたことです。もっと量を望まれる方はオーダーとしてお受けしています。
クオリティの高さにため息!そのこだわりのポイントは……
———どのような方が主に利用しているのでしょうか。
後藤 :20~70代まで幅広い年齢の方にご利用いただいています。自分の家に配達し、飾る目的の方が主ですが、中には「お仏壇に備える方」「離れて住む家族に届けている方」もいらっしゃいます。「母に連絡も頻繁にできないけれど、花を送ることでつながっている気がする」とおっしゃる方も。
———自分で花を買うのではなく、定期宅配を頼むことのメリットや魅力を教えてください。
後藤 : お花屋さんに直接買いに行かれたほうが安いとは思いますが、「忙しくて花屋さんには行けないので、宅配が楽で助かる」という方が多いですね。また、「自分では選ばない組み合わせが楽しめる」「サプライズの贈り物がもらえるようで、毎週楽しみにしています」と言っていただけることもあります。
———お花のセレクトや世界観について教えてください。
後藤 :小さいブーケだからと大雑把な選び方はしたくないのです。どこかにひと手間かけて、小さいながら奥行きのある世界、そして、かわいらしさにこだわっています。朝早く市場に行って、新鮮な花やちょっと珍しい花を選ぶのですが、メインの花は毎回違うものにし、印象を変えています。
一流アーティストのアート作品を手にできる
ビビッドでダイナミックなアレンジを手がけることが多い後藤さんですが、「Weekly Flower」で選ぶ組み合わせは、鮮やかな色ながら繊細さが際立ち、その世界観に魅了されます。アート作品のような美しいアレンジの数々はInstagramでも閲覧可能で、花の名前も一緒に知ることができます。
ここからは家での花の飾り方や活け方など、花のある生活の楽しみ方や醍醐味について教えていただきましょう。