昨年10-12月期に放送され、ABEMAオリジナルドラマとして過去最大のヒットを記録した『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』。情報屋・木原慶次郎の活躍を軸に、国家的機密情報をめぐる男たちの命を削る攻防を、迫力ある映像と先が読めないシナリオで描き、今もなお再生回数が伸び続けている話題作だ。
さらに1月9日からは、Netflixでの全世界配信もスタートした。ハリウッドや韓流ドラマの中でも十分に戦える世界観とクオリティの同作が、そのような評価を受けるのかも要注目だ。
本作の生みの親が、作家の沖田臥竜と映画監督の藤井道人。藤井の代表作のひとつ『ヤクザと家族 The Family』の監修を沖田が務めたことで関係を深めた2人。その後、ドラマ『ムショぼけ』(朝日放送、21年)でのタッグを経て、23年に『インフォーマ』(カンテレ)を手がけた。今作はその続編だった。
『インフォーマ』は、各業界の裏表の情報に通じる沖田の辣腕ぶりを目の当たりにした藤井が、「情報屋をテーマにした作品を作りませんか?」と持ちかけたところから始まった。
「プロットを書き始めたときは、SNSをめぐる状況へのアンチテーゼでもあった。SNSでは、人を叩き、落とすことがまかり通っている。週刊誌もそうですが、情報ひとつで人の人生を平気で狂わせる。だからこそ、情報を扱うことに命と誇りをかける男を主人公にして、その本質的な価値を伝えたかった。情報は人を守り、社会を良くするために使われるべきだと」(沖田)
「最近はSNSが収益化できるようになり、ポジティブな面もあるけど、悪意ある情報をバズらせたら勝ちみたいな風潮がより強くなっている。多様な意見を聞ける場のはずが、大きな声に押されて、変節してしまったり、騙されたりする人が生まれている。受け手のリテラシーが伴っていない中で、メディアの力が強化されていることを危惧しています」(藤井)