実際の生活費は各家庭によって異なりますが、今回の事例においては前述の通り、年金収入だけでの生活では毎月平均7万4132円の不足分が生じることが考えられます。生活費の不足分を補う方法には、以下のようなものがあります。
・貯蓄を取り崩す
定年後の家計収支の不足分は、貯蓄を取り崩して補えます。毎月7万4132円の不足分を補うには、年間88万9584円、30年間で2668万7520円が必要です。十分な老後資金を準備することに加えて、すぐに必要でない資金は投資で増やせるかもしれません。
・定年後も働く
十分な貯蓄額がない場合、または老後資金を減らさないために、定年後も働くことを検討できます。仕事を続けることには、収入を増やすだけでなく、健康維持や社会とのつながりを保てるメリットもあります。
・年金を繰下げ受給する
年金をすぐに受け取らずに繰下げ受給をすると、繰り下げた期間に応じて増額した年金を受け取れます。日本年金機構によると、例えば請求時の年齢が70歳であれば増額率は42%で、年金を16万円受け取る予定の場合は22万7200円になる計算です。繰下げ受給までの生活費はパートや再雇用収入および貯蓄の取り崩しでまかなうことになるため、「いつまで繰り下げるか」「収入や貯蓄はどのくらい見込めるか」などを検討する必要があります。
持ち家があっても年金16万円だけでは不十分な可能性あり
定年後の夫婦2人暮らしでは、住居費を除いた1ヶ月の生活費は平均23万4132円であることが分かりました。持ち家暮らしであったとしても、年金16万円だけで生活する場合は、毎月7万4132円の赤字になります。持ち家暮らしは賃貸暮らしと比較して住居費をおさえられると考えられますが、維持費やリフォーム費用が発生する点に注意が必要です。
年金だけで足りない場合は、生活費の不足分を補うために、貯蓄を取り崩す必要があります。十分な貯蓄額がない場合は、定年後も働いて老後資金を少しでも増やせるでしょう。それと同時に年金を繰下げ受給できれば、繰り下げた期間に応じて増額した年金を受け取れます。