ただし相続放棄をすると、自宅を含む被相続人の財産を全て手放すことになります。相続放棄をした場合、放棄した本人は全ての相続財産に手をつけられなくなるため、たとえ自宅でも住み続けることや所有することはできません。
 
負の遺産が大きく、遺産の中に自宅など今後も利用の継続が必要な財産も含まれている場合は、相続放棄はせずに限定承認で先買権の行使を検討してみましょう。
 
先買権を行使して他の人よりも先に財産を取得すれば、家庭裁判所が選任した鑑定人による評価額を支払うことで、不動産などの財産を確実に取得できます。
 
ただし、財産の取得には権利や税金など専門的な知識や手続きが発生するため、弁護士などの専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。
相続する財産に多額の負債などがある場合でも、自宅など相続しなければならない財産がある場合は、相続放棄だけでなくそのほかの方法も視野に入れて考えてみましょう。
 

まとめ

相続放棄とは、相続の発生時に亡くなった人の資産や負債などの遺産を一切引き継がずに放棄する相続方法です。亡くなった夫の借金1000万円により遺産がマイナスになるのであれば、相続放棄も手段の1つとして検討しましょう。
 
ただし、相続放棄を選択できる期限をすぎたり遺産に手をつけてしまったりすると、相続放棄が認められないこともあるため注意してください。
 
また、自宅など今後も利用の継続が必要な財産も遺産に含まれている場合は、相続放棄をすることで財産の全てを手放すことになってしまうため、限定承認をして先買権を行使することも視野に入れてみましょう。
 
相続人となる残された家族にとって遺産問題は切っても切り離せないため、家族が亡くなってからではなく、なるべく早い段階で話し合っておくことが大切です。
 

出典