そんな乃木を、野崎も疑っているようだ。改めて乃木の経歴を洗い直しても、怪しいところは見当たらない。だが自衛隊の陰の諜報部隊「別班」の人間は完璧に経歴を消す。野崎は公安部部長の佐野雄太郎(坂東彌十郎)の力まで借りて、乃木と「別班」のつながりを探っていた。そして視聴者は知っている。少なくとも乃木は幼少期に国外でテロリスト絡みの何らかの事件に巻き込まれたであろうことを。「VIVANT」が「別班」を指すかはいまだ定かではないが、やはり乃木の過去は重要な要素となっていそうだ。そしてFもそこにつながるはずだ。そもそも乃木の「憂助」という名前も奇妙で、ひょっとするとFは乃木の本名のイニシャルなのかもしれない。

 第3話ではほかにも気になるシーンがあった。サーバールームでデータをコピーする情報抽出ソフトだが、第1話で乃木がGFL社の社長・アリ(山中崇)の私用携帯によく似たスマートフォンを何かの端末につないでいるような場面があったことを思い出させる。また、信心深いらしい乃木は自宅へ戻る前に「毎日欠かさず行う習慣なので」と神田明神を詣でていたが、その際に乃木が祠に視線をやる場面があり、意味深に祠が映し出されていた。乃木が「冴えない商社マン」の顔の裏で何らかの組織に属している身ならば、連絡手段として祠が使われているのではとの見方も出ている。加えて、『VIVANT』は出雲大社でも撮影が行われたことが明かされているが、謎のテロ組織「テント」が使うマークと、出雲大社の亀甲紋が似ているとの考察もあり、神田明神と出雲大社のご祭神が同一であることから関連性も疑われている。

 謎が深まるばかりの『VIVANT』だが、次回予告では「誤送金事件が完結!」としており、いよいよこの問題の謎が解き明かされることになりそうだ。と同時に「さらなる衝撃の展開」が待ち受ける様子。それはつまり、誤送金事件はほんの序章にすぎないということだろう。野崎の協力者・ドラム(富栄ドラム)が来日するあたりからして、ふたたびアクション活劇が巻き起こる可能性も。新たな章の開幕となりそうな第4話は今夜放送だ。

■番組情報
日曜劇場『VIVANT
TBS系毎週日曜21時~
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、二宮和也、井上順、林遣都、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/VIVANT_tbs