口座が凍結される前にできる対策は、贈与以外にも次のようなものが考えられます。いずれも口座が凍結されるような状況になった後も、口座内の預金を一定の使用用途の範囲で利用できます。
成年後見制度
成年後見制度とは、本人が認知症などで判断能力を失った後、家庭裁判所によって選任された後見人が本人に代わって財産管理などを行う制度です。
客観的に後見人が選任されるため、公平さが期待できる一方、家族以外の第三者が選任されることが多いなど本人の意思が反映されにくい場合があったり、手続きに時間がかかったりする点に注意が必要です。また、弁護士や司法書士などが後見人となる場合は報酬が発生します。
任意後見制度
任意後見制度とは、本人の判断能力が不十分になった場合に備えて、判断能力があるうちに後見人を選任して契約することで、本人の判断能力低下後に後見人が財産管理などを行う制度です。
成年後見人に比べて、本人が信頼できる人を後見人に選べるので本人の意思が尊重されやすいのがメリットです。しかし、効力を発生させるには家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されることが必要です。通常は弁護士や司法書士などがその役割を担うため、報酬が発生します。
家族信託
家族信託は、信頼できる家族や親族などの受託者に、不動産や預金などの財産を託しておくことで、受託者が信託契約に基づいて財産を管理・処分することができる制度です。
柔軟な資産管理が期待できる一方、信託契約書の作成などの手続きもやや複雑なため、専門家への相談が必要になる可能性が高く、任意後見制度と同じく、手間や費用がかかることが考えられます。
口座が凍結されてしまう前に最適な方法で備えよう
認知症などにより判断能力が低下した場合、本人の資産を守るために銀行が口座を凍結する可能性があります。お金を引き出せなくなり、家族に経済的負担が発生するなどの不都合が考えられますが、それを避けるために別の口座に預金を移すと、金額によっては贈与税の納付が必要です。
別口座に預金を移す以外の方法も検討し、口座が凍結されてしまう前に、自分や家族にとって最適な備え方を考えましょう。