「側溝のふた」が盗まれる!?被害総額はなんと数百万円にも…その理由とは?
近年、側溝のふたが盗まれる事件が多発しているそうです。「なぜ、側溝のふたを盗むの?」と思う方もいるでしょう。   そこで本記事では、側溝のふたの役割や側溝のふたが盗まれてしまう理由とあわせて、窃盗罪の刑罰について解説します。

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側溝のふたの役割とは

側溝のふたは「グレーチング」と呼ばれる金属製の鉄格子で、道路の脇や公園、駐車場や建物の周囲などさまざまな場所に存在します。基本的な素材は「鉄」ですが、スチール製やステンレス製もあります。
 
グレーチングの基本的な役割は「人や物の落下を防ぎながら、水だけが流れるように促すこと」ですが、使われる場所や目的により性能や機能はさまざまです。
 
グレーチングがなくなることによって人が溝に落ちてけがをしたり、車がはまって事故が起きたりと危険性が高まります。また、自治体や個人がお金をかけて設置しているため、経済的負担も少なくありません。
 

側溝のふたを盗む目的は?

福島市では2024年10月、側溝のふたが約250枚盗まれる事件が発生しました。被害総額は440万円にもおよび、窃盗事件として捜査するといったニュースがありました。
 
側溝のふたが盗まれる背景には、転売する目的があるのではないかと考えられています。近年、金属の値段が高騰している傾向にあるためです。
 
鋼材類は、2020年初頭に需要が低迷したものの、経済活動の再開により鋼材需要が世界的に回復しました。それにともない、鉄鉱石や原料炭や鉄スクラップの価格が上昇に転じたとされています。2022年に入ると、ウクライナ情勢の悪化や円安などから、原料価格がさらに上昇し鋼材が高騰する要因の一つとなりました。
 
一般社団法人日本鉄リサイクル工業会が公表する、鉄スクラップ(鋼スクラップ)の価格も、2020年から比べると年々上昇していることが分かります。
 
2020年から2024年の、鉄スクラップ1トンあたりの価格推移を表1にまとめました。
 
表1

年代(1月の価格) 関東・中部・関西の3地区平均価格
2020年1月 2万2700円~2万3700円
2021年1月 3万5500円~3万6500円
2022年1月 5万1800円~5万3200円
2023年1月 5万円~5万1200円
2024年1月 5万1200円~5万2800円