この設定の真骨頂をドラマ的にめちゃんこ素敵なシーンで説明してくる。しかも、領域展開した次の回で伏線設置として済ましておく。ホントによくできたお話だったと思います。
そして6話から9話までどんどん重苦しくしておいて、最終回の神様アベンジャーズ感だったり、京都の神様の愛らしさだったり、ちょっとテンションを抜いて楽しくしておいて、いよいよ藤原竜也と広瀬アリスのロマンスと「ヒルコの正体」という2つのクライマックスに突入していく。貫録あふれる作劇だったと思います。
そして、最終回に来て藤原竜也のお芝居のスパークも見ることができました。絶叫を期待していたけれど、それ以上に切ない表情でしたね。アリスの手を取って「呼び出しの鈴が聞こえました」と語りかけるシーン、42歳にもなって、こんな瑞々しい少年みたいな表情が出せるなんて。TVerで4回見直してしまいました。すごい芝居。声もいいんだよなー。
ラストで病室から姿を消した二宮のの子(成海璃子)、鈴をちりんとならす小夢っち、余韻もカンペキですし、何より得した気分になります。こんな面白いやつを最後まで見られて、得した気分。よかった!
あとは好みの問題
前回、「ヒルコの正体」が何か、人の意思の介在しないAIから自然発生的に生まれてしまった宇宙意思のようなものだったらいいな、といったことを書きましたが、結果的にめちゃくちゃ人間臭い個人のエゴでした。
このへんは好みの問題で、全然いいと思う。メッセージそのものについては、現代だけじゃなくデマに踊る大衆なんて大昔から問題だったし(井戸に毒とか)、「現在を刺したか」といえばそうは言い切れないと思うけど、それはもうこっちの好みに寄せろっていう要求になってしまう部分なんですよね。
個性の強いカレーを食べて、それにハマったからこそ「もうちょいクミンを効かせてほしかった」とか思っちゃう。この人たちなら、身勝手なリクエストにも応えてくれそうな気がしちゃう。そういうところまで連れてきてくれるドラマの存在は、本当にありがたいことです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)