去る12月13日、静岡県浜松市に本拠を構える國領屋一家の本部事務所前には、多数のマスメディア関係者が詰めかけていた。

 特定抗争指定暴力団に指定され、さまざまな規制に置かれている六代目山口組だが、健在ぶりを示すかのように、例年と同じ日に「事始め式」を挙行したのだ。

 事始め式とは、ヤクザ組織における正月の儀式であり、組織の結束を強化し、成功や安全を祈願する目的がある。特に西日本に本拠地がある組織が執り行うことが多いと言われ、事始め式が開催されないときは、山口組では同日に納会を行うのが通例だ。

 今年の事始め式は、規制下で山口組総本部が使用できないため、詰めかけた報道陣や警戒にあたる捜査関係者を横目にしながら、國領屋一家本部に全国から山口組直系の親分衆が一堂に会したのである。

「この勢いからもわかる通り、もう山口組の分裂騒動は事実上、終結したに等しいのではないか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 山口組分裂問題も10年目に入ったが、対立するとされる神戸山口組は存続し、いまだ完全に終止符が打たれたわけではないが、このように話すジャーナリストの言葉の裏には、山口組から離脱した組織のほとんどがヤクザとしての活動形態を成していないという意味が込められているようだ。

「六代目山口組はどれだけ当局が特定抗争指定団体に認定し、厳罰化を強めても、今回のように公式行事は変わりなく執り行ってきている。だが、神戸山口組は解散こそしていないものの表立った動きを見せてはいない。報復にしてもそうだ。一方的に六代目山口組サイドから攻撃を受けているだけで、組織を存続させるための仕返しなどはしていない。もうこうなってくると、何のために神戸山口組は存在しているのか。もうよいのではないかと、他組織からも声が上がっているようだ」

はっきりと明暗を分けた1年

 一方で、神戸山口組から独立し、こちらも山口組とは対立しているとされる絆會は、13日より前に納会を開いたようだが、公にそれを誇示するような動きは見せていない。