タンス預金自体に問題はありませんが、旧紙幣のまま貯金することにより、将来的に不便が生じる可能性はあります。具体的には、一部の機械で旧紙幣が認識されなくなる場合などが考えられるでしょう。
例えば、あるコンビニのセルフレジと釣銭機では、2世代前までの紙幣を利用できないようです。同様に、福沢諭吉の1万円札、樋口一葉の5000円札、野口英世の1000円札に対応できない機器が現れる可能性もあります。
「それなら今のうちに新紙幣に換金しておこう」と考える人もいるでしょう。しかし、金融機関で一定額以上を取引すると、マネーロンダリング(資金洗浄)などの観点から取引目的を確認される場合があります。マネーロンダリングとは、犯罪によって得たお金を他人名義の口座に入金することで、資金の出どころを紛れさせる行為のことです。
もし不審な点があると判断されれば、所管行政庁に届け出られる場合があります。合法なタンス預金であればトラブルに発展することはありませんが、不審がられることを回避したい場合は、少額ずつ換金した方がいいでしょう。
なお、旧紙幣を認識できない機械が増えることはあっても、旧紙幣が完全に使えなくなるわけではありません。なぜなら、日本銀行法第46条第2項において、紙幣は無制限に通用することが定められているためです。
日本銀行法第46条第2項
●前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。
「旧紙幣が使えなくなる」などとうそをつき、現金をだまし取る詐欺もあるようなので、ご注意ください。
タンス預金は原則合法|ただし、旧紙幣は将来的に使える場面が減る可能性も
タンス預金は基本的には合法です。したがって、旧紙幣を家で保管することに問題はありません。ただし、相続したお金などの場合、相続金の存在を申告せずに保管すると、脱税として扱われます。
また、旧紙幣は使い続けられることが原則ですが、将来的に一部の機械に読み込まれなくなる可能性があります。なお、金融機関で200万円以上の取引を行うと、マネーロンダリング(資金洗浄)を疑われる場合もあるため、新紙幣との換金をする場合は少額ずつ行うといいでしょう。