「子までなした仲」という表現がある。ただの恋愛ではなく、古くさい言い方をすれば「愛情の結晶」がふたりもいるのだ。それをあまりにあっさり切り捨てようとする姿勢が、人としてどうなのかと思わざるを得ない。
もっとも夫婦関係は他人にはわからない。源田選手には、妻に対して積もり積もった不満があったのかもしれない。それならそれで話し合えばいいのだ、直接。オフの間にいくらでも向き合う時間はあったはず。それなのに……である。逃げていると思われてもしかたないだろう。
恋愛も結婚も「きれいに別れる」のはむずかしい。だが一般論として、子どもがいる場合は、親はとにかく「きれいに別れる」ことを目指すべきだと思う。
傷ついた妻が、子どもを愛せなくなったら、あるいは過剰に子どもに依存するようになったら、父親としてどうするつもりなのか。
30歳を越えた“大人”なのだから、恋に一途になるだけではなく、周りを見渡してほしかった。赤の他人でもそう思うのだから、妻の心情は察して余りある。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio