減額返還方式と同様に、月々の返還が困難となった場合、返還を先に延ばすことができる制度として「返還期限猶予制度」があります。制度を利用する場合には、1年ごとに審査があり、承認を受ける必要があります。利用できる期間は最長で10年ですが、病気・猶予年限特例など一部の対象者は、一定の条件に該当する期間、猶予できる場合があります。
 
また、減額返還制度で返還が困難となったときでも、猶予制度を利用できる場合があります。
 

両制度を利用した場合の返還事例

両制度を適用する場合には、1年ごとに申請して審査のうえで承認を受ける必要があります。減額返還制度は最長(通算)で15年、返還期限猶予制度は最長(通算)で10年となっています。
 
また、これらの制度を利用したとしても、利子を含む返還予定総額は通常の返還の場合と変わりません。都合、両制度を適用することで、返還を終えるまでの返還期間は延長されることになります。例として、以下のような条件での返還事例を比較してみます。
 
定額返還方式(貸与総額に応じて月々の返還額が算出され、返還完了まで定額で返還する制度)で月々の返還金額が1万8000円、返還期間は22歳から20年間だった場合

●事例1:22歳から15年間4分の1の減額返還制度を適用
●事例2:22歳から10年間返済期限猶予制度を適用

図表2
図表2
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「月々の返還額を少なくする(減額返済制度)」「返還を待ってもらう(返還期限猶予制度)」より筆者作成
 

まとめ

第一種奨学金(無利息)の場合は、前年の所得に応じてその年の返還金額が決定される「所得連動返済方式」を選択することもできます。
 
また、大学院修士課程の「授業料後払い制度」を利用した場合の返還方法も、この「所得連動返還方式」となります。この場合、返還額算定のための所得計算の際に、子ども1人当たり33万円を控除できるようになりました(2024年度から)。
 
お困りの場合やご不明な点などがあれば、日本学生支援機構ホームページや奨学金相談センターナビダイヤル(0570-666-301)などを利用して確認することをおすすめいたします。
 

出典