夫の厚生年金受給額:月20万円
妻の年金受給額(自身の分):月5万円
65歳までに「熟年離婚」を考えている40代主婦。10年間パート勤務で「自分の年金」は期待できないけど、貯金500万円と「夫の年金」を半分もらえるなら生活できる?
年金分割で、夫の婚姻期間中の年金分の半分(仮に5万円)を受け取る権利が発生した場合、妻の年金受給額は、自身の年金5万円+分割分5万円=月10万円になります。
結果として、「夫の年金の半分が支給される」という誤解が生じやすいですが、実際にはこのように計算されるため、受け取れる金額が自身の想定金額より少ないと感じる場合があります。
熟年離婚後のおひとりさまの老後資金はいくら必要?
熟年離婚を考える場合、老後の生活費をどのように工面するかは大切な課題です。2023年の家計調査報告によれば、65歳以上の高齢単身無職世帯の平均支出は、消費支出14万5430円と非消費支出1万2243円を合わせて月15万7673円、年間では約189万円です。
このデータを基に試算すると、65歳から現在の女性の平均寿命である87歳までの22年間で必要な資金は約4160万円となります。
仮に夫の厚生年金が月20万円だとして、年金分割でその50%である月10万円を受け取れる場合、年間120万円受け取れることになり、22年間で2640万円を賄えます。しかし、これでは生活費との差額である約1520万円が不足します。
ここに、貯蓄500万円がある場合、不足額は約1020万円に減ります。さらに、財産分与等で得られる金額を計算し、足りない場合は不足分を補うために貯蓄を増やしたり収入源を確保したりする準備が重要です。
ただし、医療費や介護費用といった突発的な出費を考慮すると、さらなる資金が必要になる可能性があります。早めに計画を立て、老後に向けた資金計画を練ることが、安心した生活を実現するカギとなります。
熟年離婚の現状
令和5年の厚生労働省の調査によると、熟年離婚は全離婚件数の約2割を占めています。一方で、離婚件数はピークの2002年以降減少傾向にあるものの、熟年離婚は年間4万件前後で高止まりしています。その背景には、長寿社会の影響や家族観・結婚観の変化、「モラハラ」の浸透、さらには子どもの成人を機に離婚を選ぶケースの増加が挙げられそうです。
また、実際に年金分割を利用したケースは令和4年度に約3万2900件あり、そのうち専業主婦を対象とする第3号分割は約1万1000件でした。