夫ジェイZが不満をぶちまける

しかし音楽シーンに多大な影響を与え、グラミー賞での受賞数、ノミネート数がともに史上最多を誇るビヨンセが、たった一度も年間最優秀アルバム賞を獲れていないことを疑問視する声は事あるごとに大きくなってきている。昨年、彼女の一番の身内が公に声を上げる一幕があった。

2024年2月に開催された第66回グラミー賞授賞式でのこと。ビヨンセの夫であるラッパーで音楽プロデューサーのジェイ・Z(Jay-Z)は「ドクター・ドレー・グローバル・インパクト賞」を受賞し、スピーチのため壇上に上がった。

ジェイ・Zは、グラミー賞の評価システムが正しく機能していないことがあることを指摘。その流れの中で、次のように続けた。

この若い女性に恥をかかせるつもりはないですが、彼女は誰よりも多くのグラミー賞を受賞しながら、年間最優秀アルバム賞を一度も受賞していません。つまり、あなたたち自身の基準に照らしても、それは理にかなっていません。考えてみてください。最も多くのグラミー賞を受賞していながら、年間最優秀アルバム賞を受賞していない。それはおかしいですよね

ジェイ・Zはビヨンセの名前こそ出さなかったが、「若い女性」はもちろんビヨンセのことを指していて、彼女にアルバム賞を受賞させないグラミー賞の評価システムを痛烈に批判したわけだ。

このジェイ・Zの発言は音楽業界やファンの間で大きな話題となった。彼の発言は、グラミー賞の選考過程や評価基準に対する疑問を投げかけ、そのプロセスの透明性や公平性を求める声も高まっている。

もちろんグラミー賞を主宰するレコーディング・アカデミーも無策ではない。伝統的にグラミー賞では白人アーティストや男性アーティストが優遇されているという批判があり、どうやって公平な評価を行うかについては長年にわたり議論と改革がおこなわれてきた。その一環として、選考プロセスの透明化、選考メンバーの多様化、新カテゴリーの設置など様々な試みが行われてきたのだ。

注目の第67回グラミー賞授賞式はいつ?

それでも万人が納得する評価というのは、なかなか難しいのかもしれないが、少なくともビヨンセのような素晴らしいアーティストが惜しみない評価と称賛を受けるようなアワードであってほしいものだ。

注目の第67回グラミー賞授賞式は米国時間2025年2月2日、ロサンゼルスのクリプト・ドット・コム・アリーナで開催される。

日本ではWOWOWが授賞式の模様を独占生中継で放送・配信。生中継(二カ国語版・同時通訳)は2月3日午前9時から、字幕版は同日午後10時から放送・配信される予定。