北里柴三郎は「近代日本医学の父」とも呼ばれる、日本を代表する医学者で、細菌学の第一人者です。ドイツ人細菌学者ロベルト・コッホのもとで細菌学を学び、この分野では「破傷風菌」の純粋培養に世界で初めて成功しました。この研究によって破傷風の治療法は大きく飛躍したと言われています。
また、ペスト菌を発見し、その対策に尽力したことでも知られています。帰国後は、伝染病研究所(現在の東京大学医科学研究所)や北里研究所を設立し、日本の感染症における研究と公衆衛生の発展に貢献しました。北里柴三郎の研究は多くの命を救い、日本の医学を世界水準へと引き上げたのです。
新渡戸稲造ってどんな人?
新渡戸稲造は、日本の教育者であり、世界に日本文化を広めた人物です。有名な著書のひとつには「武士道」があり、武士の精神や日本の価値観を海外に広く伝えました。
学問では農業分野に精通しており、札幌農学校で学んだ後、留学先のアメリカやドイツでも研究を重ね、日本の農業の発展に貢献しています。また、東京帝国大学や第一高等学校で教鞭をとり、教育者として若者の育成にも力を注いできました。
さらに、国際連盟の事務局次長を務めたこともあり、国際平和を叶えるため、日本と世界をつなぐ橋渡しの役目も果たしています。このように新渡戸稲造は、日本のみでなく世界でも活躍した「国際人」なのです。
お札に選ばれる人は、教育や文化に大きな影響をもたらした偉人
お札の肖像画として選ばれる基準に明確なものはありません。しかし、「日本の顔」のひとつとも言えるお札の肖像画に選ばれる人物は、日本の文化、教育、医療といった面で多大な貢献と影響を与えた、まさに人生の「お手本」としたい人物ばかりです。
最近のお札に選ばれる人物は、明治を中心に活躍した人が多いので、その時代を反映したファッションをしていることもあり、新しいお札に見慣れないうちは「昔のお札の肖像画と似ている」と感じる人もいるでしょう。
しかし、肖像画に選ばれる基準は「日本の発展に多大な功績を残したか」であり、「肖像画の人物が似ているか」という点ではありません。北里柴三郎と新渡戸稲造は、いずれもその功績が評価され、お札の肖像画にふさわしい人物と言えるでしょう。