政府が説明を繰り返す中、トランプ次期大統領は16日、「政府は何が起きているのか把握している。何らかの理由で政府は説明に消極的だ。軍と大統領は知っていることを説明した方がいい」と語った。また、既にドローンの飛行制限がかけられているにもかかわらず、ベッドミンスターゴルフコースに行くことを中止したとも述べ、市民の不安をあおった。
陰謀論を展開して政敵を攻撃するのはトランプ次期大統領の常とう手段だが、「謎の飛行物体」騒動にもトランプ次期大統領が参入してきた。
NFLがスーパーボウルの安全開催を懸念するのは、こうした流れを見れば当然のことだ。NFL主催のフットボールの試合中にスタジアム上空を違法なドローンが飛んでいたケースは年々増加し、2023年は2845件にのぼった。2017年はわずか12件。6年で約240倍になった。最悪の場合、ゲームが長時間中断するケースもある。
米国では、主要スポーツイベントが開かれる際、スタジアム周辺にドローンの飛行制限がかけられるが、NFLはこの制限の強化を議会に求めている。
2月のスーパーボウルは南部ルイジアナ州ニューオーリンズで開催される。「謎の飛行物体」が確認されている東部ではないにせよ、「集団パニック」のままでは不測の事態が起きかねない。騒げば騒ぐほど「集団パニック」の収束は遅くなるが、NFLとしても騒ぎを静観するわけにはいかないようだ。
(文=言問通)