年末からお正月にかけてNHK連続テレビ小説『おむすび』の前半戦振り返りをやっているわけですが、この作業はアレですね、あんまり晴れやかな気分になりませんね。
というわけで、晴れて専門学校に入学してから卒業、就職までを描いたパートを振り返ってみましょう。先に言っておくと、モリモリ(小手伸也)がカウンセリングのシミュレーションで覚醒して役者魂を発揮したシーンは大好きです。あれが魂なんだよな。「ギャル魂」もそうであってほしかった。
本質を理解しない者、現る
昨日は『おむすび』における「ギャル魂」は糸島編の時点で形骸化していたという話をしましたが、その形骸化の標本のような形で登場したのが、神戸編の結(橋本環奈)でした。
神戸に来て早々、バイトしよっかななどと言いだし、親から「学業に専念する時期では?」と進言されると「学業ってwww大げさなwwww」と盛大に草を生やす。入学初日にはつけまとネイルを完備したギャルファッションで登校する。おそらく作り手側の意図としては、エネルギッシュ、ポジティブという表現のつもりなのでしょうが、誰が見ても「ギャル魂の本質を理解しない者」としか見えなくなってしまっています。そもそも「ギャル魂」がなんだかよくわかりませんが、この結という人が「何かの本質を理解している」とは到底思えない。
人が誰かの影響を受けて変わっていくことはドラマチックだし、結がギャルになったこと自体は物語の必然でもあるわけですが、ここに至るまでに「学業ってwww」のように、自分のやりたいことに対して不真面目なギャルは一人たりとも登場していません。むしろ「真剣にギャルをやる」ことが、ギャルが世間に受け入れられる最低限の条件だったはずです。食費を削ってまでネイルの勉強をしていたスズリン、ダンスに真剣じゃない結にキレ散らかしたタマッチ、彼女たちが世間から誤解を受けながらも真剣に生きていたからこそ、結もまたギャルを肯定的にとらえることができたはずなんです。