でも、家族が増えるにつれて、賃貸を転々としていては、柱の傷とか、家の思い出も残せなくなると考えが変わって。21歳差の夫婦である以上、年上の私が先に老いるのは当然ですし、介護を見越したのもありました。いつか、車椅子生活になっても暮らせるようにバリアフリー住宅にして、マイホームで生涯を終えられればと思っています。
かい:介護の不安については、周囲からもよく聞かれるんです。なかには「親と妻の両方を介護なんて、できるわけないやろ」と言ってくる人もいますけど、そう言われると逆にちゃんとやってやろうと思える性格もあり「若いうちに介護する方が体力もパワーもあっていいやん」と思ってしまいます(笑)。えみが言ってくれたように、家を転々としていたら記憶は残っても形は残らないし、僕はえみとの思い出がたくさん詰まったマイホームでずっと暮らし続けたいです。
<取材・文/カネコシュウヘイ>