住宅ローンを組んでいる場合、親は団体信用生命保険(団信)に加入しているかもしれません。この保険は、ローンの契約者が返済中に死亡した場合などに、その時点のローン残高が保険金で全額返済される仕組みです。親がこの保険に加入していた場合、遺族がローンの支払いを引き継ぐ必要はありません。
 
団信加入の有無は、親が利用していた銀行や金融機関に連絡して問い合わせることで確認できます。ただし、団信への加入は絶対ではないため、親が必ずしも加入しているとは限りません。
 
また、団信が適用外となるケースもあります。例えば、ローン契約時に既に重篤な病気を患っていてそれを隠していた場合や、団信が既に失効となっている場合などです。団信に加入しているからといって、必ずしも安心とは限らないという点に注意してください。
 

相続放棄も団信も使えないときは?

相続放棄もできず、団信も使えない場合は、親の遺産全てを住宅ローンとともに相続することになるでしょう。とはいえ「住宅ローンの存在は重い」と感じる場合は、「任意売却」を検討するのもひとつの手です。
任意売却とは、住宅を売却し、その売却益をローン返済に充てる方法です。この場合は債権者たる金融機関との交渉が必要となります。
 
もうひとつの手段としては、「限定承認」もあります。限定承認とは、プラスの財産の範囲内でのみ住宅ローンを含むマイナスの財産(負債)を相続するものです。
かなり大まかな説明をすると、仮に「住宅ローンを含む借金(マイナスの財産)が5000万円あり、プラスの財産が土地と建物300万円しかない」という場合、限定承認を行うと、住宅ローンを含む借金は300万円のみ返済する必要があるのです。
 
ただし、限定承認は手続きが複雑かつ利用条件が限定的であるため、あまり現実的ではありません。本格的に利用するのであれば、相続専門の弁護士へ相談することをおすすめします。
 

まとめ