◆ブランドアイテムはもちろん他の古い服でも十分に着られる
昨年、ディオール、そしてサンローランと戦後のファッションを代表するメゾンの大規模な展覧会が開催されました。両方見に行きましたが、どちらも今もそのまま着られる服ばかりでした。これらを古いからという理由で捨てると言う人がいたら、皆喜んでもらっていくでしょう。
もちろんディオールもサンローランもラグジュアリーブランドですから、高価なものです。では、もっと安価なものであったら、古いという理由で着られないのでしょうか。
そんなことはないでしょう。古着屋やセカンドハンドを扱うショップでは、今でも多くの人が古い服を買っていますし、実際、日常的に着ています。モノとして傷んでいないのなら、古い服でも十分に着られるのです。
◆90年代では通勤着としてヘルムート・ラングを着用
私が今でもたまに着るこのテイラード・ジャケットは、90年代のヘルムート・ラングのもの。90年代の半ば、友達が日本でヘルムート・ラングを扱う会社に勤めていて、その会社のファミリーセールでよく買っていたので、私のワードローブの半分はヘルムート・ラングでした。
当時、ヘルムート・ラングは、ミニマムで脱構築的なスタイルと新しい素材使いが特徴のファッション界に衝撃を与えたデザイナーでした。
斬新(ざんしん)ではあるけれども、日常的にも十分に着られるものばかりだったので、私はもっぱら通勤着としてヘルムート・ラングを着用。背中がシースルーでタトゥープリントが入ったベストや、前ボタンが全部違うグリーンのカーディガン、ニット素材とシースルー素材が重なったミニマムなワンピースに、ヘルムート・ラングのジャケットやコートを羽織って小田急線に乗って通勤していました。