そんななか、密かな勝ち組と目されるのがテレ東だ。

「紅白が全世代を取りに行こうとして、結果的にどの世代も満足できない内容になるなか、なじみの歌手の歌をしみじみと楽しみたいシニアにとって、もはや『年忘れにっぽんの歌』は紅白以上のお楽しみになっています。昨年も6%台をマークしていて、その後の『孤独のグルメ』も4%台。コストパフォーマンスを考えればテレ東の圧勝でしょう」(同)

民放ベテランPが明かす、今年ならではの「制作事情」

 今年はTBSと日本テレビが入れ替わるかが注目ポイントになりそうだ。日本テレビで42年間プロデューサーを務めた尼崎昇氏が、今年の大晦日の“制作事情”を俯瞰する。

「今年は大晦日が火曜日なのが大きなポイントです。ビデオリサーチは年間52週で計算し、今年の年間は12月29日まで。つまり大晦日の番組は年間カウントに入りません。カウントされないなら、正直それほど力を入れなくても……と考えた局があっておかしくはない。まずはそこが特殊な点です。

 紅白に関して言えば、有吉はコアには強くても世帯では決して強くありません。シニアにハマるタイプではありませんし、音楽番組でアーティストに応対することにも慣れていない。毒舌でいじるのが持ち味なのに、紅白ではそれも出来ない。数字を取りに行くなら、大泉洋、櫻井翔、橋本環奈らが司会だった2022年の方が安心して見られたはずです。

 民放については、日テレが昨年の反省を活かして固く取りに来た印象です。いい番組、見たい番組がいくつか集まっているほうが、全体的に視聴率は上がるもの。日テレの数字が上がれば、ザッピングすることで紅白の数字も上がる可能性はあります。ただ全体で見れば、正直弱い。結局一人勝ちするのは、新年1月に映画版の公開も控える『孤独のグルメ』になりそうですけどね」(尼崎氏)

 各局ともまだサプライズを用意している可能性はあるが、何か伝説は生まれるか。
(取材・文=木村之男)