65歳になるまでの老齢厚生年金は、雇用保険との調整対象になります。65歳未満でもらう老齢厚生年金は特別支給の老齢厚生年金だけでなく、繰上げ受給した老齢厚生年金も含まれます。
その月に支払われた賃金の最高15%相当分の高年齢雇用継続基本給付金を受給している場合、最高で標準報酬月額の6%分の年金が支給停止されます。
 
ただし、この調整は、年金を受給しながら厚生年金保険に加入している人が対象となりますので、厚生年金に加入していない人は高年齢雇用継続給付を受給していても、厚生年金は全額支給されます。
 

在職老齢年金とのダブル停止もあり得る

働きながら年金を受給する場合、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全部が支給停止となる在職老齢年金という制度もあります。
在職老齢年金によって年金が一部支給停止となっている場合でも、高年齢雇用継続給付を受給している場合、年金がさらに一部支給停止となります。
 
たとえ、在職老齢年金で年金が6%以上停止されていても、高年齢雇用継続基本給付金を各月の15%相当分受給している場合は、さらに標準報酬月額の6%分の年金が支給停止となります。
 

まとめ

厚生年金保険に加入中で高年齢雇用継続給付を受給している人は、老齢厚生年金を繰上げ受給すると、年金額が一部支給停止となるので注意が必要です。
なお、2025年4月1日以降に60歳に達した日を迎えた人は高年齢雇用継続基本給付金がこれまでの15%相当額から、各月に支払われた賃金の10%相当額に引き下げられます。
 
月給20万円の場合、従来制度であれば3万円受給できていたのが、2万円に減少します。さらに年金の支給停止が現行制度のままなら、標準報酬月額6%分の支給停止は変わらず、手取りが減少することになります。
 

出典