◆「透明人間」として扱われたハーバード留学時代

ハーバード大学
※写真はイメージです(以下同)
――ちなみに、留学時にはどんなことがあったのですか?

山口:アメリカでは英語がまったく通じず、周りからは「透明人間」のように扱われていました。例えば「アンブレラ」と言っても誰も傘を貸してくれなかったりして、諸々のストレスで血尿が出たこともありました……。医療費が高くて病院にも行けず、本当に苦しかったです。

 食生活も、お菓子とインスタントラーメンのような安い食べ物でやり過ごしていたので、体調もよくありませんでした。学校でも英語を話そうとすると「I'm sorry」と言われ、授業中に英語を話せたことが一度もありませんでした。

 ですが、現在の専門である「家族法」と出合ったことで、初めて英語で話したいと思うようになりました。文献を読み込み、レポートを提出した際、先生から「エクセレント」と評価され、「ここにいていいんだ」と感じたことを今でも鮮明に覚えています。

 それまでは「勉強してるね」と言われることにコンプレックスを感じていましたが、家族法の授業をきっかけに、私は「読む」ことが得意だと再認識でき、自信につながりました。帰国後も、東京大学の博士課程でひたすら読むことに集中していました。

――帰国後、信州大学の特任教授を務めたり、ワイドショーのコメンテーターをしたりと活躍していますよね。

山口:どちらの役割も、読書を基盤にキャリアを築いてきたと感じています。以前は自分を落ちこぼれだと思っていましたが、今ではまったくそうは感じません。「私は自分の道を歩めばいい」と思えるようになりました。

◆子育ては「常に綱渡りのような状態」

子育て
――2023年にお子さんをご出産されたそうですが、それによってライフスタイルはどのように変わりましたか?

山口:とても変わりました。時間の使い方が完全に変わりましたね。

 今、子どもは保育園に通っていますが、朝になると「食欲がない」とか「体温が37度を超えている」といったことが頻繁にあり、常に綱渡りのような状態です。