所得控除は課税金額から引かれる控除ですが、税額控除は税額から直接引かれる控除です。年末調整の対象となる控除は多くありませんが、代表的なものとして住宅ローン控除が挙げられます。
住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、初年度は確定申告で控除を申告する必要がありますが、翌年以降は年末調整により自動適用されます。
年末調整の手続きの流れ
1. 申告書の提出
会社から配布される「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書」などに必要事項を記入し、必要な証明書類(保険の支払証明書など)とともに提出します。
2. 計算と調整
会社が提出内容を基に税額を再計算し、多く払っていた税金があれば還付し、不足分があれば年末の給与から差し引かれます。
3. 年末調整のメリット
年末調整を行うことで、多くの給与所得者は確定申告が不要となり、税負担が過不足なく調整されるため手間が省けます。ただし、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税を含む)、雑損控除を申請したい場合は、確定申告が必要です。
年末調整を正しく理解して手続きをスムーズに!
年末調整は、給与所得者が自分の税金を正確に調整するための大切な手続きです。会社が手続きを代行してくれるため、自分で大きな負担を感じることは少ないですが、書類の記入や必要書類の提出は忘れずに行いましょう。また、医療費控除や副業収入など特定の事情がある場合は、確定申告との併用が必要になることも覚えておきましょう。
年末調整を正しく行えば、余分な税金を支払うことなく、適切な形で税務手続きが完了します。今後の手続きに備えて早めに準備を進めましょう。
出典
国税庁 給与所得者と税
国税庁 令和6年分 源泉徴収税額表
国税庁 令和5年分 年末調整のしかた
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー