年末調整は12月に行われ、ここで最新の年間所得に基づく税額が確定します。年末調整時には従業員があらためて「扶養控除申告書」や「保険料控除申告書」を提出するため、最新の扶養状況や保険料控除、配偶者特別控除などが反映されて年末調整が終了します。
なお、生命保険料控除や地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などの控除は、月々の源泉徴収では考慮されません。これらの控除は、年末に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に基づき、年末調整によってまとめて精算されます。
年末調整で調整される所得控除
1. 年末調整で調整される所得控除は以下のとおりです。
(1)基礎控除
一律に適用される控除で、収入が一定以下であれば48万円が控除されます。
(2)配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者が一定の所得以下である場合に適用される控除で、配偶者の所得金額に応じて控除額が決まります。
(3)扶養控除
扶養家族がいる場合、その家族1人ごとに一定額が控除されます。16歳未満の扶養家族は控除対象外です。
(4)ひとり親控除
ひとり親控除は、未婚または配偶者と離別しているひとり親(性別を問わず)が適用を受けられる控除です。扶養する子どもがいることが条件となり、未婚のひとり親も対象です。
(5)勤労学生控除
勤労学生控除は、学生であると同時に給与などの収入がある人に対する控除です。学生がアルバイトやパートなどで収入を得ている場合、その負担を軽減するための控除です。
(6)寡婦控除
寡婦控除は、夫と離別・死別し、婚姻していない人に適用される控除です。一定の扶養親族がいる、または離別や死別後再婚していない場合に適用されます。
(7)障害者控除
障害者控除は、自身または扶養親族に障害者がいる場合に適用される控除です。障害者の等級に応じて控除額が異なります。
(8)社会保険料控除
健康保険や年金保険などの社会保険料の支払額が全額控除されます。
(9)生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険や地震保険の契約がある場合、それぞれの支払額に応じて一定額が控除されます。
(10)小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済や確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)など、退職後の資金を準備するための掛金が控除対象です。自営業やフリーランス、特定の法人役員などが加入できる小規模企業共済制度への掛金も該当します。