今回の例では、「被扶養者の範囲(同一世帯の条件)」も「収入の基準(収入要件)」も満たすため、すぐに扶養内に戻れるといえます。
 

「扶養内」に戻るための手続きはどうしたらよいか?

扶養に戻るためには、被保険者(今回の例では夫)が事業主(会社)を経由して「被保険者(異動)届」を提出しなければなりません。被保険者が会社に書類を提出するだけですので、手続きとしては難しくはありません。ただし、提出期限は、原則「事実発生から5日以内」ですので、注意が必要です。
 
書類を提出する際には、続柄確認のための書類・収入要件確認のための書類を添付する必要があります。これは、先述の被扶養者と認定するための要件(被扶養者の範囲・収入の基準)を満たしていることを確認するためです。
 
続柄確認のための書類とは、具体的には被扶養者(今回の例では妻)の戸籍謄本(抄本)と住民票の写し(被保険者が世帯主で、被扶養者と同一世帯である場合に限ります)です。ただし、以下のいずれにも該当する場合は、続柄確認のための書類を添付する必要はありません。
 

・被保険者(夫)と扶養認定を受ける方(妻)双方のマイナンバーが届書に記載されている
・上記の書類により、扶養認定を受ける方(妻)の続柄が届書の記載と相違ないことを確認した旨を、事業主が届書に記載している

 
また、今回の例は「退職したことにより収入要件を満たす場合」に該当するため、収入要件確認のための書類として「退職証明書」または「雇用保険被保険者離職票の写し(離職票)」を添付する必要があります。
 
退職証明書や離職票は会社が退職者に対して発行する書類です。扶養に入る手続きをするうえで必要な書類ですので、退職時に必ず発行してもらうようにしましょう。
 

まとめ

本記事では、「せっかく扶養を外れて働き始めたのに夫の転勤で引っ越します。仕事を辞めることになりましたが、辞めた後はすぐ『扶養内』に戻れますか?」というご相談を例に、「辞めた後はすぐ「扶養内」に戻れるか?」「『扶養内』に戻るための手続きはどうしたらよいか?」について解説しました。
 
結論としては、以下のとおりです。