しかし令和ロマンは、昨年は松本人志がいても優勝して今年は松本人志がいなくても優勝。平成を駆け抜けたカリスマがいない今、令和のカリスマが新たに誕生した今回の優勝とも言えます。
「松本人志」という存在への喪失感が完全に忘れ去られるほどの盛り上がりと、「松本人志がいてもいなくても関係ない」という証明にもなった2連覇。
これは松本さんがテレビから姿を消してちょうど1年という期間だったというタイミングもあるかもしれません。しかしそうしたタイミングや運も味方につけ、時代に愛されていることもカリスマたる所以(ゆえん)と言えるでしょう。
◆M-1優勝後も関西の賞レースに!たゆまぬ挑戦し続ける姿勢
くるまさんの特筆すべき点はM-1の連覇だけではありません。
令和ロマンは昨年のM-1優勝後に関西のお笑いコンクール「ABCお笑いグランプリ優勝2024」で優勝。「M-1グランプリ優勝後にABCお笑いグランプリ優勝」を達成した史上初のコンビとなりました。
これもまた大きな賞レースで優勝をすることが目的なのではなく、賞レースに挑戦し続けることでお笑いのお祭りにずっと参加し続けることが目的のくるまさんの意向と令和ロマンの実力が反映された結果となりました。
また相方の松井ケムリさんのお父さんが大和証券取締役副会長兼最高執行責任者、関西テレビ放送監査役であることはよく知られています。
実家が日本トップクラスの富裕層でもある松井さんを相方に持てば「金持ちへの憎悪」のようなテンションで相方をイジることは簡単でしょう。けれども、くるまさんはそういったことはせず、あくまでフラットな感覚でコンビを組んでいることがうかがえます。
◆くるまの人生観に鬱屈した若者世代から共感も
くるまさんは過去のインタビューやYouTubeで、複雑な家庭環境で育ったこと、お笑いのために一浪で入学した慶應義塾大学を中退したこと、東京都練馬区出身という生い立ちを絡めて自身について「東京の寂しいところも楽しいところがいっぱい入っている」「ミスター東京」だと語っていました(12月4日『PHPオンライン』インタビューより)。