編集S 雰囲気で勝った感じですか。
新越谷 いや、全然違う。漫才師としての、台本じゃない部分の具現化力、実行力のエグさでブチ抜いたということです。純粋に演者としてのくるまのアジリティと、受け手のケムリのタフネス。たぶん、今回のくるまは「頭脳で攻略して勝つ」では満足できなかったんじゃないかと思うんですよね。オラのつえぇーのを全部ぶつける、みたいなギャンブルがしたかったんだと思う。
編集S じゃあ、出順が違えばわからなかったと?
新越谷 可能性は低いけど、負けパターンもあったと思う。事実として真空、エバースとは1点差2点差だし、今年の令和ロマンに限っては「トップだから低い」というバイアスも例年ほどはかかってないと思いますし。会場の空気としても、漫才を見たというより「一連の事件を見た」というニュアンスが近いように思います。2020年のマヂラブが土下座でせり上がってきたのと同じような、ネタ以上にコンビそのもののストーリーが作用している。もちろん、その事件そのものを令和ロマン以外が起こすことはできないので、全部ひっくるめて完璧にお見事なんですけど。
ヤーレンズ
編集S 割を食ったのが2番手のヤーレンズですかね。
新越谷 連続して事件が起こったことと、最初の事件より小規模になってしまったことは不幸でしたよね。ここまで点数が出ないネタではなかったと思います。
編集S 差がつきましたよね、令和ロマンと25点差。
新越谷 恥を忍んで言いますけれども。
編集S はい。
新越谷 ヤーレンズの点数ね、差がついても1点だと思ったんです。令和ロマンが95ならヤーレンズが94という。なんかいろいろ言われてたけど、ヤーレンズってこんなもんでしょう。
編集S こんなもんって。
新越谷 いや、最高にいい意味で、こんなもんでしょう。去年より落ちてると思わないし、みんな去年あんなに楽しませていただいたじゃんって思うの。それが、同等のクオリティで持ってきてこんな仕打ちはないよ。