日本では、このまま「洋画離れ」が加速していくことになるのだろうか。「洋画復権」の一つのカギとして、長野氏はこのように提言する。
「今年の洋画でいえば、ホアキン・フェニックスとレディー・ガガが共演した『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』や、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』は、宣伝のやり方次第では日本でももっと数字を残せたように思います。メジャー系の作品は本国からの縛りが強いこともありますが、洋画の興行成績が厳しいという状況を逆手にとって、日本独自の宣伝戦略があっていいはず。
かつては年末の『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)に各配給会社の名物宣伝スタッフがそろって出演し、お正月映画の宣伝バトルを繰り広げていた時期もありました。洋画宣伝は日本独自の文化でもあるので、流行語になるくらいのパンチのある宣伝コピーやプロモーションで洋画を盛り上げてもらいたいものです」
(文=佐藤勇馬)
■取材協力=長野辰次
映画ライター。生年月日非公開。著書に『バックステージヒーローズ』『パンドラ映画館 美女と楽園』など。共著に『世界のカルト監督列伝』『仰天カルト・ムービー100 PART2』ほか。