ローン返済のために、しわ寄せがライオさん兄弟へと行くようになったという。

当時ライオさんは大学生。教科書などの大きな買い物が発生すると、「お父さんに払ってもらうから金額を教えて」と、母から指示が飛ぶ。

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その代金が振り込まれると、すぐに母が引き出し、返済にあてるという流れができていた。

◆兄と弟が負担した総額は

「まるで自分が、金の仲介役になったかのような気持ちでしたね。僕らのお年玉や奨学金の一部も、ローンの返済に消えています。

当時兄はすでに社会人で、母に毎月7万円の送金をしていました。僕も大学を卒業してからは、たびたび母に無心されるようになり、言われるたびに10万円を送っていました」

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そのときライオさんはすでに家を出ていたので、「金で母と直接のかかわりを避けられるなら」という気持ちからである。

なお、姉は子ども(母にとっての孫)を巻き込んだトラブルにより、母と絶縁している。

◆結婚を機に、考え直す

「しかしその送金も、僕の結婚によってむずかしくなりました。自分の収入は、家族の共有財産ですからね。妻にも、おかしさを指摘されました。

そんな折、会社の上司に『家族がこじれていて』という話を少ししたんですよ。すると、会社の制度でカウンセリングを無料で受けられると教えられました。そこで、夫婦で受けてみることにしたんです」

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これまでの経緯を打ち明け、カウンセラーから話を聞くなかで「それはあなたの母親が悪い」という言葉が出た。

それを聞いて、ライオさんは号泣してしまったという。

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「はっきりと母を否定されたことが何よりもびっくりでしたし、うれしかったことを鮮明に覚えています。いまでもそうですが、子どもには親を否定することができない。しかし、この状況を客観的に聞いた人にそう言ってもらえたことで、救われた気持ちになりました。

それまでは人に話しても、なかなかわかってもらえない苦しさもありましたし、いっそのこと、手切れ金として母にまとまった金を渡せばいいのかとか、思い詰めていたりもしたので」