会社によっては、高年齢者雇用安定法に基づいて、本人が希望すれば定年後も引き続き雇用する再雇用制度を導入している場合があります。ただし、再雇用の場合は定年前と比較して年収は下がる傾向にあります。ハローワークインターネットサービスによれば、「雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合」には、「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」が支給される場合があるため、確認しておくとよいでしょう。
 
定年後も再雇用で働くと、条件にもよりますが、70歳まで加入できる厚生年金にも加入することになります。老後生活の不足分を再雇用によって補うだけでなく、将来の年金受給額も増やすことになるでしょう。
 

不足分をパートで補う

再雇用以外の選択肢としては、パートで年金生活の不足分を補う方法もあります。月に10万円ほどの不足分を補うには、例えば東京都の最低賃金である時給1163円を目安に考えると、毎月86時間、4週に分けると毎週21.5時間働く必要があります。
 
7時間労働を週3日、または4時間程度の短時間労働を週5日するなど、不足分を確実に補えるように計算するとよいでしょう。妻が1人で10万円を稼ぐことが難しい場合は、夫も短時間のパートを検討してもよいかもしれません。
 

夫婦で年金15万円だと毎月10万円ほどの不足分が生じる可能性がある! 再雇用やパートの検討が必要かも

今回の事例のように妻が専業主婦の場合、会社勤めの方と比較して年金額は少なくなる傾向にあります。夫の雇用形態によっては、夫婦で年金15万円のケースも考えられます。平均的な老後生活では消費支出が月25万959円であるため、年金生活だと毎月約10万円の不足が生じるでしょう。
 
毎月10万円の不足分を補うだけの十分な貯蓄があればよいですが、そうでなければ夫が定年後も再雇用で働き続けることを検討してもよいかもしれません。夫が定年退職後に雇用を継続できない場合は夫婦でパートに出るなどして、毎月10万円ほどを稼ぐ必要が生じるでしょう。東京都の最低賃金を基に計算すると、毎月86時間、毎週21.5時間を仕事に充てることになります。
 

出典