70代の父が「限度額適用認定証」を提示し忘れ、病院の窓口で本来より多く支払っていました…。あとから提示すればお金は返ってきますか?
病院で「限度額適用認定証」を提示し忘れてしまうと、一度に高額な医療費を窓口で負担することになるケースがあります。こうしたケースでは、後から認定証を提示することで自己負担限度額を超えて支払った分の払い戻しが可能かどうか、気になるところです。   本記事では、限度額適用認定証の概要と提示忘れにおける対応方法を解説します。

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限度額適用認定証とは

健康保険に加入している場合、1ヶ月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担が高額になった際に、一定の金額を超えて支払った分は「高額療養費」として後日払い戻しを受けることができます。これを、「高額療養費制度」といいます。
 
「限度額適用認定証」とは、事前に医療費の自己負担が高額になることが分かっている場合などに、医療機関の窓口で保険証と一緒に提示することで、医療機関に支払う1ヶ月分の医療費が自己負担限度額までとなります。
 

認定証の申請とマイナンバーカードの利用

オンライン資格確認を導入している医療機関では、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録している場合、窓口で提示し「限度額情報の表示」に同意することで限度額適用が可能です。
 
オンライン資格確認を導入していない医療機関や、加入している健康保険でマイナンバーカードの登録がない場合などは、従来通り「限度額適用認定証」を事前に申請し、交付を受ける必要があります。なお、限度額適用認定証には有効期限があり、更新手続きも必要になることがあるため、注意が必要です。
 

70歳以上の方の自己負担限度額

厚生労働省によれば、70歳以上の方の毎月の自己負担限度額は年齢や所得によって異なり、平成30年8月診療分から表1のようになっています。
 
表1

適用区分 ひと月の自己負担限度額
外来(個人ごと) 世帯ごと
現役並み(年収約1160万円~) 25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
現役並み(年収約770万円~約1160万円) 16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
現役並み(年収約370万円~約770万円) 8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
一般(年収約156万円~約370万円) 1万8000円
(年間14万4000円)
5万7600円
住民税非課税世帯 8000円 2万4600円
住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) 1万5000円