◆障がい者にはグラデーションがあり、第三者にはわからない
障がいにはグラデーションがあり、「何が、どこまでできないのか?」は第三者にはわからない。それに当人であっても100%把握しているわけではない。加えて、パニックになると普段できていたことができなくなるケースもある。天野のように有紗が障がい者ということを知っていても、ついつい「フォローもしているし、これくらいならできるかも」と任せてしまうのも無理はない。
ただ、障がい者であるかに限らず、誰しも得手不得手がある。その人の個性や特徴を見極めて仕事を振ることは容易ではなく、どのように仕事を任せれば良いのかということを考えたくなる。有紗という障がい者を軸にストーリーが展開されるが、障がいに関係なく、日常のあらゆるシチュエーションに存在する違和感を痛感させられる内容だった。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki