◆職場で障がいを公表するのは、簡単なことではない

 それでも、千葉も障がいについて知っていれば、推薦するにしてももう少し慎重に判断しただろう。仮に有紗が配車を担うことになった場合でも、ドライバー達も注意深く業務に当たることができ、有紗のミスを防げていたかもしれない。同僚に障がいがあればそれを知っておくことは、業務を円滑に行うために大切な情報共有でもある。

 当事者のプライバシーに配慮するのなら、やはり本人の口から伝えてもらうしかない。とはいえ、有紗のように障がいがあることを隠して「“普通”に接してほしい」と考える人もおり、本人が自身に障がいがあることを公表することは簡単ではなく、強制することもできない。