「ギャグをすごいする人だって思っちゃって見てるから、ギャグやる人だって思わないで見たら、もっと変な面白さがあったのかなって」
確かに、まいあんつがギャグを連発するギャガーであることを知らずにネタを見始めたと仮定すると、単発のギャグのクオリティだけでなく「しつこくギャグをやる」という行為自体に面白さが宿る可能性はある。
だが、塙が「本人がギャグを売りにしてるからね、難しいかもね」と語った通り、あの紹介VTRが取っ掛かりとなっていることもまた、間違いないところだろう。
思い出すのは、2019年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)だ。かまいたちが伝家の宝刀「UFJ」ネタでトップに躍り出ると、和牛が敗者復活から盤石の出来で2位に滑り込み、それを7番手のミルクボーイが「コーンフレーク」でブチ抜いていくというダイナミックな展開で、史上最高レベルともいわれる大会である。そのラスト10番手に登場したぺこぱは、以下のような文言で紹介された。
「ツッコミ方改革 ぺこぱ」
「顔にメイク、派手な衣装のツッコミ松陰寺」
「一方、見た目奇抜さはないボケ、シュウペイ」
「まったくつかみどころのないボケに対し、見た目同様、型破りにツッコむ」
「さぁ今こそ、そのスタイルを輝かせるとき」
今やすっかり有名になったが、ぺこぱの漫才はその紹介の通り、シュウペイのボケに対して松陰寺太勇がツッコミつつ、それを否定しないという独特なスタイルで2人をブレークに導いた。審査員の松本人志も、その「ノリツッコまない」スタイルを「新しいところを突いてきましたよね」と評した。つまり、この紹介にはなんら間違ったことはなかったし、結果としてぺこぱに悪影響を及ぼしたこともなかった。
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