つまりコードがつながっていないスマートフォン自体を画面上に写さず、つながっていなかったというオチを開示する前からコミカルな状況が伝わる。『ウイングマン』第1話でのフレームアウト、フレームインといい、藤岡真威人は、画面の内と外を(視聴者と共同する)想像力で結びつけている。
◆二世俳優が乱立する令和最強のポテンシャル
現在20歳。俳優デビュー作は、セガによるオリジナルキャラクター「せが四郎」動画シリーズ。どうしてこのシリーズ動画に藤岡真威人が出演したのかというと、彼の父が藤岡弘である文脈にふれないわけにはいかないだろう。
1997年、セガのCMで道着を着た藤岡弘が演じたキャラクター名が、せがた三四郎。息子俳優が新たなキャラクターとして受け継ぐ。メイキング動画を見ると、撮影現場で藤岡真威人を眼差す藤岡弘が「僕の若い頃にちょっと似てきたね、う〜ん」とディープなトーンでつぶやいている。
言わずと知れた初代ライダー俳優である父をもつ藤岡真威人が、『ウイングマン』でヒーローに憧れる高校生から実際にヒーローの力を得る姿はこの父子にしかできない時代の超え方ではないか。一方で筆者は、『クールドジ男子』放送時、そうした関係性をまったく知らなかった。
客観的に見て、藤岡真威人は、二世俳優が乱立する令和最強のポテンシャルを秘めている気がする。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu