大塚「漫画の中で紹介している『後追い沈水(あとおいちんすい)』の事例は、特に注意してほしいです。これは、子どもたちが集団で遊んでいるときに誰かが溺れ、その子を助けようとした子どもも溺れてしまうという事故です。毎年夏になると、後追い沈水による死亡事故が必ず発生しています。毎年誰かが遊泳禁止の川で溺れ、それを助けた人も巻き込まれてしまいます。

後追い沈水を素人が助けるのは無理です。ですから『なぜ遊泳禁止の場所に行ってはいけないのか?』という理由とセットで『川遊びは危ない』と理解することが大事なのです。

きょうだいや友達と川遊びをする際、上級生が下級生を見守ることも重要です。集団で遊ぶ際には、自分の立場を意識して行動することを学んでいってほしいです。気をつけるべきポイントをたくさん学んで、危険な場所やシチュエーションを避ける習慣がつくと良いですよね。『ここなら大丈夫だけど、少し外れると一気に危険になる』といった感覚を身につけてほしいです」

――漫画を通して水遊びの危険やその対策方法を知ることは大切ですね。

大塚「そうですね。例えば、スマホを使いながら歩く『ながら系』による事故は、現代特有のものとして今後は変わっていくかもしれません。時代の変化とともに、新しい事故や事件はどんどん出てくると思います。でも、川遊びの危険性は昔も今も変わらず、普遍的に起きうる事故です。

漫画では、時代に関係なく起きる危険についても取り上げています。たとえば、毒を持つ生物に出会ったときの対処法です。今も昔も毒は毒ですよね。危険な生物は変わらず危険です。こうした普遍的な危険については一度学んでおくと、『これは危険だ』と理解し、今後も役立つ知識として備えられると思います。知識があれば、危険を避けたりピンチを逃れたりすることが可能になります」

◆普遍的に起こる事故こそ、知ることで未然に防げる

スマホの「ながら系」事故のように、時代の流れの中で新たに発生するリスクもあれば、後追い沈水のように昔から繰り返される事故もあります。身の回りで起こった事例を知ることで、今自分がとっている行動が危険かもしれないと、危機察知ができるようになります。