核家族や共働きの家庭が増え、子どもの放課後に大人が家にいないケースが多いので、子どもたちだけで勝手に行き来できないというのが大きいと思います。親同士の間では、家に友達を呼んで何かが起きたら責任問題が生じるからという理由もあるようです。
そんな背景から、子どもが家で一人でいる、という状況が珍しくない現在。そして一人で遊んでいて、事件や事故に遭うケースが増えているように感じます。ニュースでこうした事件や事故を見ると、子ども同士の付き合い方が変わってきているなと感じます。ただ、川での溺水事故のように、昔も今も変わらず発生しているものもありますね」
◆大人も子どもも「危ない」という感覚をどう身につけるか
――川遊びでは今も昔も、毎年痛ましい事故が起きていますね。
大塚「そうですね、これは時代に関係なく起きている事故です。僕が子どもの頃も外遊びをしない子はいましたが、現代はさらに外遊びや水遊びをする子が減っているように思います。そのため、昔なら大人から『危ない』と教わっていたような基本的なシチュエーションでの溺水事故が増えている印象です。
外遊びや川遊びに慣れていない親子が、突然川に行ってしまい、そこで事故に遭うケースも多いですね。いわゆる『ヒヤリハット』って、通常は300件のヒヤリ、29件の軽い事故が起きると1件の大きな事故につながると言われます。1件の重大な事故の裏には、29件の軽傷事故と300件の無傷事故があるという、ハインリッヒの法則です。でも、最近の川遊びに関しては、ヒヤリハットからすぐに事故につながる状況が増えているように感じます。
近年は日常的に外遊びや川遊びをするのが難しく、危ないシチュエーションを学ぶ機会が減っています。だからこそ、漫画で川遊びの危険性を疑似体験してもらえたらと思っています」
◆毎年後を絶たない、子どもたちの「後追い沈水」事故
――歩きスマホや誘拐など、漫画の中にはさまざまな事例が登場しますが、特に気をつけてほしい危険なシチュエーションはありますか?