“塩漬け”になっている株式や投資信託を売って、NISAでの投資を考えています。損をした場合に何かできることはありますか?
今年は新NISA制度が始まり株式の話題が増えました。「投資にはリスクがある」と言われるように、損をすることもあります。その場合に“少しでも取り戻せる方法”について考えます。

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損益通算することで税金還付

今年は投資への関心が高まった年でした。投資にはリスクがつきものです。「長期投資をすればリスクは軽減できます」という理論には一理ありますが、塩漬けになった株式や投資信託に頭を痛める例も少なくありません。
 
これまで見て見ぬふりをしていた場合も、「世間が投資に動いているので、いつまでも放置していられない」と損切りを迷っている方もいるかもしれません。今回は損失が出た場合にできる損益通算を考えます。
 
退職金を銀行の退職金プランに預けたAさん。
 
契約したプランは、定期預金50%と指定された投資信託50%に預けると、定期預金の利率が優遇されるというものでした。Aさんは投資初心者ですが担当者の詳しい説明に納得し、いくつかある投資信託の中からXファンドを選ぶことにしました。
 
その後、購入した投資信託の基準価額は上下変動し、結果的にAさんは含み損を抱えることになりました。
 
もちろん、自己責任なので「自分は投資に向いていない」と諦めて、ほったらかし状態が続き半年がたちました。やがてAさんは完全にリタイアしたので公的年金以外に収入がほしいと思い、毎月分配型の投資信託に乗り変えることにしました。Xファンドを売却し、毎月分配型の投資信託であるYファンドを購入したのです。
 
この時点でXファンドの損失は確定です。乗り換え後、AさんはBファンドから毎月の分配金を受け取っています。受け取る分配金には税金が掛かります。その都度、所得税15%と住民税5%復興特別所得税0.315%が源泉徴収された形で指定口座に振り込まれる仕組みです。
 
翌年になり通帳を見たら、振り込みがありました。これは、Xファンドを売却した時の損失とYファンドからの分配金(利益)を損益通算して還付されたものです。売却損が出た場合は、売却益や分配金などの利益と相殺することで課税の対象となる金額を減らすことになります。
 
ということは、支払うべき税額も少なくなりますので、すでに源泉徴収されていた金額から再計算された差額が還付されたのです。
 
損失と利益が同じ口座内での取引なら、金融機関が年間を通して計算・納税しますので自分で手続きする必要はありません。Aさんも報告書は受け取っていますが、知らない間に手続きしてもらっていたのです。
 

NISA口座とは損益通算できないことに注意