とりあえず、靴を入れるビニール袋は持たせることに。しかし、お菓子やジュースは同じようなものが見つかりませんでした。
「そこまで気にしないでいいのかもしれないけど、高そうでマニアックなお菓子を子どもに持参させる時点で、食へのこだわりが相当すごそうじゃないですか。しかもきちんと、二人分。へんなものを持たせて、娘の印象を悪くしたくないという気持ちもありました。スーパーを3軒はしごしたけれど見つからず、もう本当に焦ってしまって……」
◆焦って、焦って、やっと選んだ「懐かしのお菓子」
「ブルボンの『ルマンド』です。中身が詰まった高級バージョンのやつ。それと市販のポテトチップスに、なぜか割りばしを二膳つけました。
ブルボンを嫌いな人はそうそういないじゃないですか! 『食べたことがないなら、食べてみてほしい』と血迷ったというか」
なるほど、相当焦ったことだけは伝わってきます。
「……でもよくよく考えてみたら、ルマンドってパイシートが重なっているから、上手に食べないとボロボロと床に破片が落ちるんですよね。しかも、ポテチに割りばしって本当に意味がわからない」
◆ルマンドはセーフだったけど、他のママ友は……
今でも、「当時のことを思いだすと、恥ずかしくて叫びたくなる」そうですが、なんとか気遣いのお礼をしようとした姿は相手にも伝わったといいます。
「うちの子どもが、『ママ、お礼しなきゃって頑張ってたよ』って伝えてしまって。
でも、それがよかったみたい。別のママ友に話を聞いたら、こだわりの塊のママはほかのお友達の家に行くときも同じように徹底していたそうなんです。
でも反対にお友達がその子の家に遊びに行ったとき、靴袋もお菓子もなにも用意しなかったら、その後、地域の集まりのときにチクリと一言あったみたいで。
『せめて靴袋は持参でお願します(苦笑)』『お礼は形ではなくて、気持ちの問題ですよね。そういう親の姿を子どもは見てますよ』って。ちょっと怖いですよね」