無知って怖い! 投資女子の失敗談とは?

(写真=筆者撮影)

くすい: 横山さんの投資の順番としては、株、投資信託、不動産という感じなんですね。

横山: 実は投資信託は株より前から始めていて、皆さんご存知ないかもしれませんが、昔、山一証券があったんです。実はそこに私は全財産を入れていました。当時勤めていた出版社に営業の人が来てくれて、「ここに(お金を)入れておくとすごく利回りがいいから」と言われたので、バーッと投資信託を買いました。そしたら経営破たんしてしまって……。お金は全額戻ってきましたが、今思えば「無知って怖いな」って思います。

くすい: 当時の気持ちとしては、「仕事も忙しかったし、証券会社の人に言われたとおりに買っておけば利回りもいいし安心」みたいな感じ?

横山: そうですね。当時の投資信託は利回りが5~6%という状況だったので、預けておけば自然とお金が増えていきます。銀行のATMへ行くように証券会社のATMに行ってお金を引き出していました。(笑)

くすい: 無知って怖いなっていうのはすごく分かります。私はちょっと話題になっていたからという理由だけで何も調べずにあるゲーム関連企業の株を買ってしまいました。はじめての株式投資です。そうしたらダーっと株価が下がってしまって……。さすがに何も調べずに買うのはよくなかったなと思いました。次はリベンジしてやろうと思ういい発奮材料にはなりましたけどね。投資初心者は「無知」なことが多いと思うのですが、資産運用ってみんな最初は失敗しちゃうものでしょうか?

横山: 始めるタイミングが悪いと失敗してしまうこともありますが、投資の業界ではビギナーズラックという言葉が存在していて、最初の投資は儲かるケースも多いです。でも逆に失敗した経験があるからこそ、勉強をしていろいろやってみようという気にはなりますよね。

NISA、つみたてNISA、イデコ、それぞれの違いは?

(写真=筆者撮影)

くすい: 今日は来場者のみなさんから質問をいただいています。その中でも、積み立て投資についての質問を複数いただいています。私も実際に投資を始めたきっかけがiDeCoでの投資信託の積み立てでした。積み立て投資について詳しく知りたい、という要望があるので解説をお願いできますか。

横山: iDeCoについて話します。まず注意していただきたいのが、企業年金に加入されている人はiDeCoを利用できない場合があります。会社の福利厚生を担当している人に制度を利用できるかどうか確認してください。

iDeCoは老後の生活資金を今から蓄えるための制度です。掛金をそのまま所得から控除することができますので、結果的に支払う税金が減ります。つまり、税金を支払っていない人はこの特典は活用できませんので確認してください。

注意していただきたい点は、積み立てたお金を60歳まで引き出せないことです。老後まで引き出せなくてもいい金額でやることが大切で、もっと前にお金を使いたいと考える場合には利用できません。よく考えて活用されたほうがいいです。

くすい: 積み立て投資でいうと、最近は「つみたてNISA」も注目されています。

横山: つみたてNISAとiDeCoにはその目的に違いがあります。iDeCoが老後資金を貯めるための制度であるのに対し、つみたてNISAは初心者の方が資産運用を始めるのに適した制度で、60歳を待たずにお金をいつでも引き出すことができます。

つみたてNISAを利用して儲かった利益には税金がかかりません。もし、通常の証券口座で積み立て投資や株式投資をすると、利益におよそ2割の税金がかかります。例えば10万円の儲けがあれば2万円程度の税金が取られます。投資で儲かったお金に税金がかからないのはiDeCoも同じなのですが、つみたてNISAは、掛金を所得から控除することはできません。

お金を運用して増やしたい場合は「つみたてNISA」か「NISA」を使っていただいて、ある程度お金が増えて老後資金として運用したいお金はiDeCoがいいでしょう。ちなみにNISAとつみたてNISAの違いは、投資手法と投資対象の金融商品、そして年間の投資金額です。

くすい: NISAが120万円、つみたてNISAが40万円。つみたてNISAのほうが少ないですね。

横山: くすいさんはどちらを利用していますか?

くすい: 私は投資が好きなので、NISAをしています。

横山: 私もNISAです。つみたてNISAは株に投資ができないからです。

くすい: つみたてNISAは個別株式に投資ができないんですよね。

横山: 金融庁で決められた投資信託とETFだけに投資できるのがつみたてNISAです。投資信託に投資をコツコツしていきたいならつみたてNISA、私たちみたいにガツガツ儲けたいならNISAを使っていただいて、株で儲けましょう、ということですね。

くすい: ただし、つみたてNISAのほうが年間の投資額は少ないですが、非課税期間が長いですね。NISAは基本的には5年ですが、つみたてNISAは20年です。

横山: そうですね。それが(つみたてNISAの)メリットといえばメリットですし、長くコツコツ少額からやりたいならつみたてNISAがいいと思いますね。

くすい: iDeCo、つみたてNISA、NISAの3つの中だと、一番初心者向けの「補助輪付き」は、金融庁がある程度基準を決めた商品しか購入できなくなっているつみたてNISAということになりますね。

横山: そんな感じですね。くすいさんの場合は、NISAで運用しつつiDeCoで老後の資金も蓄えているということですが、もし皆さんが資金に余裕がなければ、今iDeCoはやる必要がないと思います。なぜなら60歳まで引き出せないからです。運用資金のニーズに合わせて、国が用意してくれた非課税の制度を使っていくことが大事なんじゃないかと思います。