家計における教育費は、公立の学校で義務教育を終えた場合、高校進学後から一気に負担が増える傾向にあります。公立高校のほうが経済的負担は軽く公立への進学を望んでいたとしても、さまざまな事情から結果的に私立高校へ進学するというケースも珍しくはないからです。そこで今回は、私立高校在学中にかかる学費と教育資金の準備について解説したいと思います。
高校から私立への進学が増加
文部科学省が発表した「学校基本調査(令和2年度 速報値)」によると、2020年5月現在、国立、公立、私立の中学に通う生徒の合計は321万1,237人です。そのうち私立に通う生徒は24万2,113人で比率は全体のおよそ7.5%です。
高校の場合、国立、公立、私立の高校に通う生徒の総数は309万2,351人。そのうち私立に通う生徒は101万7,771人で32.9%へと増加します。
この比率は居住する都道府県間でも大きな差があり、地方部においては公立高校へ進学する比率が高く、都市部では私立高校へ進学する比率が高い傾向にあります。たとえば、東京都においては56.5%と、全体の半数以上が私立高校へと進学しています。
私立高校の年間の平均額
文部科学省は全国の都道府県の協力を得て、私立幼稚園、小学校、中学校、高等学校において入学時に必要となる費用について調査を行っています。
この調査によると、2019年度の私立高校(全日制)における初年度の「授業料」の平均は40万4,713円となっています。このほかに「入学料」が16万3,362円、「施設整備費等」が16万8,602円で、合計で73万6,677円が入学初年度に必要となります。
年間授業料以外にかかる費用
子どもを学校に通わせるのに必要なお金は、授業料だけではありません。2018年、文部科学省が発表した「子供の学習費調査」では、授業料以外必要な費用についても幅広くまとめています。
私立高校に通うに際して必要な費用で言うと、たとえば「学校納付金等」が21万5,999円、「補助学習費(塾代や模試費など)」が約19万4,000円、「通学関係費(交通費など)」が11万4,043円、「教科外活動費(部活動費など)」が5万6,224円、「修学旅行・遠足・見学費」が5万3,999円などとなっています。
これらの費用をトータルすると71万9,051円、私立高校に通う生徒の学校外活動費(習い事・学習塾などの費用)が25万860円になります。授業料、その他諸経費、学校外活動費などを合計すると私立高校の1年の学習費総額は「96万9,911円」となります。
公立高校の学習費総額も同じように合計した場合、1年間で「45万7,380円」が必要となります。私立高校に子どもを通わせる場合、「年間約100万円のお金が必要」と大まかに考えても良さそうです。
公立・私立高等学校(全日制)における1年間の教育費の内訳
公立 | 私立 | |
---|---|---|
授業料 | 2万5,378円 | 23万26円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 3万5,579円 | 5万3,999円 |
学校納付金等 | 5万5,360円 | 21万5,999円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 4万1,258円 | 4万2,675円 |
教科外活動費 | 4万427円 | 5万6,224円 |
通学関係費 | 7万9,432円 | 11万4,043円 |
その他 | 3,053円 | 6,085円 |
学校外活動費 | 17万6,893円 | 25万860円 |
合計 | 45万7,380円 | 96万9,911円 |
出典:文部科学省「子供の学習費調査」(2018年)