ゼンケツの室長は、雨野小夢(広瀬アリス)で彼女は天宇受賣命(アメノウズメノミコト)。でも、ヒルコに狙われ、神の記憶を失ってしまった。人間として再びゼンケツに配属された小夢は興玉たちと行動していくうちにじょじょに神時代の記憶が蘇ってくる。
神としての彼女は輪廻するたびに猿田彦大神である芹田(迫田孝也)と夫婦になる宿命のようなものがあった。だが第9回で、興玉は豊玉姫命(とよたまひめのみこと〈福本莉子〉)から、小夢が好きなのではと指摘される。彼はさらりとはぐらかすのだが、最終回では興玉と小夢のエモい場面が……。
このときの藤原竜也の芝居は見どころである。ヒルコと神の戦いや人類は選別されてしまうのかという切迫した問題をさしおいて、興玉と小夢の人間らしい(神だけど)のシーンが胸に迫る。
◆四十代でこれほどのピュアさが出せることがまさに神技
藤原竜也といえば、『バトル・ロワイアル』『デスノート』等代表作を多く持つつ俳優で、モノマネタレントによくネタにされる主演映画『カイジ』の「キンキンに冷えてやがる」(労働のあとビールを大喜びで飲む場面)をはじめとした過剰すぎて笑いに転じてしまうパフォーマンスに定評がある『ゼンケツ』最終回のエモさも、過剰過ぎるほどエモい。
なにがすごいって、四十代でこれほどのピュアさが出せることがまさに神技なのである。四十代だって五十代だってピュアさはあるし、年齢は関係ないとはいえ、どこか渋みが滲(にじ)むもの。藤原に渋みがないということではなく、十代、二十代の一番搾り的なピュアさをいまだに出せるのが稀有(けう)であるということなのだ。